相続で借金が残されたとき、放棄できるという選択肢
親や兄弟などが亡くなり、遺産において借金が残されたとき、どうしますか。その借金を受け継いで、返済していくという選択肢もあります。ですが、民法上、借金を放棄することが可能なのです。その場合、資産も借金も、プラスもマイナスも放棄することになるのです。一部だけ、特定の財産だけ受け継ぐことはできません。相続放棄は、たとえば、亡くなった人の預貯金を使ってしまった、などのケースでは認められないことがありますので注意が必要です。
そのため、亡くなった人の銀行口座などから、勝手にお金を引き出して使ってしまうと、すでに限定承認したことになってしまいますので、遺産に借金が含まれていた場合に、相続放棄ができなくなるリスクがあります。気をつけたほうがよいでしょう。
親の借金を子供が知らされておらず、実は多大なる借金が隠れていて、相続の際にトラブルになった、ということはよくあることです。生前に話し合っておければ良いのですが、家族間の気恥ずかしさもあって、なかなか遺産について、話し合うことが困難なケースがあります。たとえば、相続は、親の死について話すことでもありますから、縁起でもないと思われて話すのに抵抗がある人が少なくないのです。
ですが、死んでしまってから、借金が発覚し、困ったことになる事態が発生しては、大変です。その際には、借金を含めた全資産を相続放棄することになります。
相続放棄は家庭裁判所で
相続放棄の手続は、公的なものですので、家庭裁判所で行います。相続放棄の申請書を出して、さらには被相続人と自分の関係をしめす謄本などを提出し、800円の印紙代、および郵便切手などを提出します。すると、照会書が自分のもとに送られてきます。それに、相続に関する質問等がたくさんかかれていますので、それらに答えていくことで、想像放棄の手続きをおこないます。その照会書を返信することで、相続放棄の手続きが認められます。この一連の手続きを、相続放棄申述と呼びます。
ですが、相続放棄は、認められないケースもあります。たとえば、預金などを勝手に引き出して、使ってしまった場合などです。また、不動産の名義をすでに自分のものに書き換えてしまった、などのケースでも、相続放棄が認められません。すでに一部だけ相続している場合は、ほかのものを拒否することはできないのです。プラスの資産も、マイナスの負債も、どちらも受け継がなくてはならないのが相続です。それが嫌なのであれば、相続放棄で全部拒否する他ありません。
一部だけ受け取るということはできなくなっていますので、気をつける必要があります。
弁護士か司法書士に依頼するのが無難
相続放棄には、3ヶ月などの期限があります。そして、相続が発生したということは、親がなくなった直後ということですので、何かとバタバタしがちです。
49日過ぎてから対応しようと思っていても、そんなことをしていては、故人に借金があったことを調べるだけで3ヶ月が経ってしまいます。
そうすると、裁判所が延長を認めない限りは、相続放棄の手続きができなくなってしまいますので、相続が発生したら直ちに動く必要があります。
専門家の助けを借りるのがベストで、弁護士や司法書士に依頼するのが良いでしょう。
不動産や会社経営などをしていて株式の相続があるなどの場合には、弁護士に頼むのが良いでしょう。複雑な相続手続きになりがちですので、スムーズに手配してくれます。
一方の司法書士も、相続専門の司法書士がいますので、そうした人に依頼すると良いでしょう。残された遺産の内容が、預貯金と借金のみと言う場合などには、司法書士にお願いするのがスムーズです。また、司法書士に依頼するほうが、手続き費用も安く済みます。
遺産相続はもめがちですが、ひとりだけ相続放棄することもできますので、できるだけ早期の段階で、専門家に依頼しましょう。