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遺産分割はいつまでにしなければならない?遺産分割の期限について

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遺産分割が必要になるケースとは?

相続人が複数いれば共同相続となる

人が亡くなったときには、その人の親族のうち、民法で定められている範囲の人が相続人になります。相続人が1人というケースもありますが、相続人は複数いるケースの方が多いはずです。

たとえば、結婚している人の場合、配偶者と子供全員が相続人になります。独身で子供がいない人でも、父母がいれば父母とも相続人になり、両親が亡くなっていれば兄弟姉妹全員が相続人になります。

相続人が複数いる相続は、「共同相続」と呼ばれます。共同相続では、相続人全員で相続財産を共有することになり、相続財産を共有している相続人は「共同相続人」と呼ばれます。

共同相続では遺産分割協議を行う必要がある

共同相続では、相続開始と同時に相続人全員で相続財産を共有することになります。しかし、ずっと共有状態が続くとさすがに不便です。そのため、相続財産を分ける「遺産分割」が必要になります。

遺産分割は、原則として相続人全員の話し合いにより行います。この遺産分割の話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。遺産分割協議が成立すれば、相続人全員で共有していた相続財産が、それぞれの相続人に確定的に分配されることになります。

遺産分割協議が成立しなければ調停や審判で決着を図る

相続人全員での話し合いがスムーズにできず、遺産分割協議が成立しない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停や遺産分割審判を利用して遺産分割を行うことができます。遺産分割調停とは裁判所で遺産分割についての話し合いを行う手続きで、遺産分割審判とは裁判所が遺産分割の方法について決定する手続きになります。

遺言があれば遺産分割協議は不要

亡くなった人が遺言を残している場合には、遺言が優先され、遺言に従って相続が行われることになります。そのため、遺言があるケースでは、相続人全員が集まって遺産分割協議を行う必要は基本的にありません。

 

遺産分割に期限は設定されていない

相続が開始したら、様々な相続手続きを行う必要があります。相続手続きの中には、期限が決まっているものがありますから注意しなければなりません。

たとえば、相続放棄や限定承認は相続開始を知った時から3ヶ月以内、所得税の準確定申告には相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内、相続税の申告は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。

一方で、遺産分割も重要な相続手続きですから、期限があるのではないかと考えるかもしれませんが、遺産分割には法律上の期限は設定されていません。相続開始後何年経過していても、遺産分割を行うことは可能です。つまり、遺産分割をせずに放置していても、遺産に対する権利がなくなるわけではないということです。

 

相続税の申告と遺産分割の期限

相続税の課税対象になるケースとは?

遺産相続では、遺産の額が基礎控除額を超えると、相続税の課税対象となります。基礎控除額は、次の計算式で算出します。

遺産に係る基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

遺産分割未了でも相続税の申告期限は守らなければならない

相続税の申告が必要な場合、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月の期限内に必ず申告をしなければなりません。もし相続税の申告が遅れたら、遅れた日数分の延滞税や無申告加算税などのペナルティを課されてしまいます。

相続税の申告期限までに遺産分割が完了していない場合には、民法上の法定相続人が、法定相続分で相続財産を取得したものと仮定して相続税の申告・納税を行うことになります。つまり、未分割でも相続税の申告自体は可能ですから、ペナルティを逃れることもできるということです。

しかし、未分割申告では、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった税負担が軽くなる特例を使うことができないというデメリットがあります。これらの特例は、期限内に遺産分割が完了していることが利用の要件となるからです。

特例を使うなら遺産分割の期限は3年

未分割申告をした場合でも、当初の申告期限から3年以内に遺産分割が完了すれば、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用して、修正申告または更正の請求を行うことができます。なお、遺産分割後に特例を適用したい場合には、相続税の申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておく必要がありますので、注意しておきましょう。