遺産相続の対策は「早め」に
遺産相続対策をいつから始めれば良いか?という問いには、「できるだけ早めに」というのが回答になるでしょう。
人間である以上、直近で健康であっても、事故や災害など突発的な事態によって、突然命を落とす可能性もないわけではありません。
遺産相続対策としてすでに行えることがあるなら、「いつから始めようか」ではなく「もう準備しておこうか」と考え、早めの遺産相続対策を講じておくことは賢いことでしょう。
遺産相続対策として、いつからでもできること
では、遺産相続対策としていつからでもスタートできることを4つご紹介します。どれも、若い人にとっても有意義な遺産相続対策です。
大切な書類の保管場所を限定し、家族に知らせておく
通帳や株式、借金などがある場合は借用証書など、大切な書類は1〜2箇所に限定して保管しておき、可能であれば家族に知らせておきましょう。
遺産相続が始まると、相続人はこういった書類をすべてかき集めて相続財産の調査をしなければならないため、事前に保管場所が分かっていれば大変助かることでしょう。
訃報を知らせてほしい連絡先のリストを作っておく
人が亡くなると、その人を取り巻く色々な人が影響を受けます。友人や知人はもちろんですが、離れて暮らす家族や親族、職場の人や取引先の人など、特に急いで訃報を知らせなければならない相手もいるかもしれません。
そのような人の連絡先を、遺族が調査して知ることは難しい場合があります。自分で連絡先リストを作成しておき、連絡の優先順位や自分との関係性なども記載しておくなら、遺族としては助かるでしょう。
連絡先リストがあれば、葬儀をどの程度の規模で行う必要があるかも遺族が把握しやすくなります。
遺言書を作成しておく
遺産相続対策の基本とも言えるのが、遺言書の作成です。自筆証書遺言であれば作成費用も必要ありませんし、法定の書式さえ守れば、自分ひとりで法的に有効な遺言書を作成できます。
遺言書には、自分の財産を遺産相続する相続人の間でどのように処分してほしいかなどを記載します。遺言の内容には、法的効力を持たせることができるものとそうでないものがあるため、よく調べて作成しましょう。
エンディングノートを作成しておく
近年ブームともなっているのが、エンディングノートです。
法的な書類ではありませんので、自由に作成できます。自分が生まれてから今までの人生の記録や、家族や友人へのメッセージ、自分の財産の内容や遺産相続に関する希望、死の前後に叶えて欲しい願いなどを書くことが多いようです。
「介護が必要になった時に私に判断能力がなかったら、○○の施設へ入所させてほしい」とか、「延命治療は望まない」など、自分が意思表示できなくなった場合に備えたメッセージや希望も自由に記載できるため、遺言書とは別に作成しておくと良いかもしれません。
エンディングノートは遺産相続に必要なものではありませんが、自分が健常なうちに作成しておくことで、万が一の事態が起きたとしても自分の意思を家族に知ってもらえます。
遺産相続対策として、高齢になったらしておきたいこと
先に紹介した、いつからでもできる遺産相続対策に加え、高齢になり財産にゆとりができたら是非行いたい対策もあります。
主に、次の2つの相続税対策です。
生前贈与を行う
遺産相続になると、相続財産には相続税がかけられてしまいます。上手に生前贈与をしておけば、遺産相続で相続される財産は減り、結果として相続税も減らすことができます。
贈与は贈与で、贈与税という税がかかってきますが、年間110万円の基礎控除や教育資金贈与、配偶者控除など、各種制度を活用することで早期に非課税で財産を譲ることができます。
ただし、財産を譲る側の生活のこともありますので、ある程度財産にゆとりができた時期から始めるのが良いでしょう。
財産の評価額を下げておく
土地に賃貸住宅を建設するなどして財産の評価額を下げておくことも、遺産相続でかかってくる相続税を軽減するための対策となります。
ただし、この場合、入居者が思ったように集まらず、収支バランスが崩れるリスクも持ち合わせています。
まとめ
遺産相続のためにできる対策は、若いうちからでも行えることがたくさんあります。生前に遺産相続の準備をしておくことは自分だけでなく家族のためにもなりますから、先延ばしにせず早めに遺産相続対策に着手しましょう。