法定相続分を求めるために必要な物
上記のものは他の相続人がすでに集めていたり、もしくは相続財産一覧表まで作り上げていたりする可能性があります。その場合は、それを利用しましょう。上記以外に、被相続人が他の相続人に多額の贈与をしていた場合、その金額も一旦、相続財産に組み込んで計算します。
*1 死亡保険金は相続財産にはならず、受取人の財産です。しかし、特別受益とみなされれば別です。その場合、法定相続分に組み込まれます。例えば、以下のような判例があります。
(平成17年10月27日東京高等裁判所)
相続人2人で総額1億円の遺産を相続していたところ、一人が1億円の生命保険金を受け取った事案について、東京高等裁判所は、当別受益と準じるとの判決を下した。
他にも似たような事案は存在します。ですが、このような事案は、保険金を受けた相続人が納得しなければ、家庭裁判所の判断も必要になりますので、専門家に依頼しないと解決は難しいと思われます。
相続財産の計算方法
先に集めた資料を基にして、相続財産を計算しましょう。不動産も、動産も当然に法定相続分に該当します。以下の計算方法により、現金に換算しましょう。
まず、不動産は課税台帳の金額にて計算します。骨董品などは、美術年鑑、美術名典、美術家名鑑、美術市場などで価値を調べましょう。車などの動産は、同じ車種で同じ年式のものを、今市場で買ったらどれくらいするのかという計算方法で算出します。
株式は、被相続人の死亡の日の最終価格によって評価します。ただし、最終価格が次の3つの価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。
1. 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
2. 課税時期の月の毎月の毎日の最終価格の平均額
3. 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
相続財産 = プラス財産 ― マイナス財産
法定相続分の計算方法
法定相続分の計算方法において、あなたの立場は以下のうちどれに該当しますか?あなたの法定相続分の計算方法は、下記の表に該当する立場によります。
法定相続分の場合、以上の計算方法において、一人一人の相続財産を決めることになります。
同順位の方が複数いれば、その人数で割ることになります。例えば、妻、子供のパターンで、子供が2人いる場合、法定相続分の計算方法は、配偶者が2分の1 、子供は2分の1を2人で割って1人当たり4分の1 となります。
法定相続分を計算方法に従って計算したら
たとえば、相続財産が1億円だったとしましょう。その場合、相続人が、配偶者と子供2人であれば、配偶者は5000万円、子供一人当たり2500万円となります。
あなたが亡くなった方の妻であり、子供も両親もいなければ、あなたは7500万円、夫の兄弟姉妹は総額で2500万円となります。もしも兄弟姉妹が5人いれば、一人あたり500万円ずつという計算方法となります。
法定相続分として、その分の財産は貰う資格があるということになります。
遺言書によって財産分与がなされた場合は?
では、遺言書によって相続分割が指定されており、計算方法から算出した法定相続分から極めて少ない額になってしまっていた時は、どうすればよいのでしょうか?
遺留分減殺請求権
遺言書等により遺産分割が指定されていて、その額が一定の計算方法で算出した額より、極めて少ないか、もしくは全くなかった時、その方の生活を保全するために遺留分減殺請求という制度があります。
相続人は法定相続分を一定の計算方法によって算出し、自己に割り当てられた法定相続分の2分の1を受け取ることができるという制度です。
この制度を利用するには期限があり、「 相続開始及び、減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったとき 」から1年以内に手続きをしないと時効消滅しますので注意が必要です。また、相続の開始から10年経過した場合にも権利行使ができなくなります。
遺言書の内容に不満があるときは、内容証明郵便により、遺留分減殺の意思表示をしましょう。
まとめ
親御さんを見送るときには、相続人は通常家族を持っていることが多いでしょう。家族との生活のことを考えると、遺産分割はいくらでもいいというようには、なかなかなりません。一定の計算方法に従って算出した法定相続分を軸にして、相続を進めていくことがもめない相続のコツかもしれません。