相続人なしといってもいろいろある!相続人なしのケースとは?
元々法定相続人なしの場合
人が亡くなったとき、その人の法定相続人になるのは、以下の親族に限られます。
①配偶者…必ず相続人になる
②血族…次の人が、先順位の人なしの場合にのみ、相続人になる
第1順位 子(または孫など)
第2順位 直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位 兄弟姉妹(または甥・姪)
亡くなった人に、上記①②に該当する親族が一人もいないということもあり、このような場合には相続人なしということになります。なお、法定相続人に該当する親族なしというのは、既に亡くなっている場合のほか、相続欠格や相続廃除によって相続資格なしとなっている場合も含まれます。
相続放棄で相続人なしになるケースもある
人が亡くなったときに法定相続人となった場合でも、相続放棄を行うことはできます。相続放棄をした人は、初めから相続人ではなかったことになり、同順位の相続人が全員相続放棄をすれば、相続資格が次順位に移ることになります。
結果として、配偶者や第3順位までの血族が全員相続放棄した場合には、相続人なしということになるケースもみられます。
相続人なしが確定!相続人なしの場合の手続き方法はどうなる?
相続人なしなら相続財産管理人が選任される
相続人なしの場合には、相続財産を管理する人がいないことになってしまいます。この場合には、利害関係人が家庭裁判所に申し立て、「相続財産管理人」を選任してもらう必要があります。
相続財産管理人は、相続財産を管理しながら清算を行う役割を担う人で、通常は弁護士などの専門職が選任されます。
なお、相続人なしの場合でも、必ずしも相続財産管理人が選任されるわけではありません。相続財産管理人選任申立てには費用もかかりますから、相続財産なしの場合など、必要性がないケースでは相続財産管理人は選任されないことになります。
相続財産管理人選任後の手続き
相続財産管理人が選任されると、相続財産管理人選任の公告、債権者・受遺者への請求申出の公告・催告が行われ、届出した債権者等へ支払いがされます。
さらに、相続人捜索の公告が行われ、期間満了までに相続人が現れなかった場合に、相続人なしとして、相続人不存在が確定します。
特別縁故者が財産を受け取れることも
相続人なしの場合に「特別縁故者」に該当する人がいれば、その人が相続財産を受け取れる可能性があります。特別縁故者とは、相続人ではないけれど被相続人と特別の関係にあった人のことで、内縁の妻や夫のほか、被相続人の療養看護に努めた人などが該当します。
特別縁故者が相続財産を受け取るには、相続人捜索の公告期間が満了して相続人不存在が確定した後3か月以内に、家庭裁判所に「特別縁故者に対する相続財産分与の申立て」を行う必要があります。
裁判所によって特別縁故者であると認められると、相続財産の一部または全部を受け取ることができます。
相続人なし!といっても、相続人が行方不明の場合は?
相続人がいるけれど連絡先も住所もなし
相続人なしといっても、相続人の行方がわからないだけのケースもあります。たとえば、法定相続人となる人がいて、戸籍上も生きていることになっているけれど、住民票のある場所に住んでおらず、連絡もとれないような場合です。
相続人なしといっても、相続人が行方不明の場合には、相続人不存在の場合とは手続きが異なってきます。
行方不明の相続人がいる場合の遺産分割協議
相続人が行方不明の場合でも、その人を除いて遺産分割協議を行うことはできません。遺産分割協議を行うには、行方不明の相続人について、不在者財産管理人を選任してもらう必要があります。この場合、不在者財産管理人が行方不明の相続人の代理人として遺産分割協議に参加することになります。
なお、行方不明になってから7年以上経っており、生きているのか死んでいるのかも定かではない場合には、失踪宣告を申し立てることもできます。失踪宣告を受けた場合には、その人は死亡したものとみなされるため、他の相続人だけで遺産分割協議を行うことも可能になります。