残された家族に、被相続人の配偶者がいる場合、いない場合
たとえば父親が亡くなってもまだ母親がいる場合は、母親が遺産の半分を受け取ります。残りの半分を、兄弟で分割するという流れになります。兄弟が2人の場合では、1/4ずつの分割となるでしょう。そして、母親がすでに亡くなっている場合などは、兄弟で1/2ずつの分割となります。
遺産相続の割合は、頭数で決まり、基本的に、長男だから、長女だから、という区分はありません。日本の場合、第一子が伝統的に多くを相続し、家を継いでいくというイメージがありますが、そうした文化はあくまで習慣上のものであり、民法上は末っ子であろうと同様の権利を持ちます。平等に分割されますので、遺産相続の割合がわからなくなったときは、覚えておきましょう。
遺産相続の割合を考えるときに起こる、さまざまな分割方法
遺産の割合を考えるということは、相続すべき遺産を分割するということにほかなりません。
そこで、遺産を分割するには、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割の4つの種類があります。それぞれみていきましょう。
現物分割とは、土地と株式と現金が残された場合、長男が土地を受け継いで、次男が株式、長女が現金、というふうに、それぞれ固有の財産を受け継ぐ方法です。遺産相続の割合を考えるとき、この方法で分割しているパターンが多く、よく使われる方式です。
換価分割とは、現金および預貯金以外の分割しづらい財産、すなわち土地や建物、マンション等が残された場合に、それらを売り払い、売却代金を遺産相続の割合に従って分配します。
代償分割とは、遺産を誰かひとりが相続し、残りの相続人には、そのひとりが金銭で相続分を支払うという形です。たとえば、親のマンションが残され、そこに長男が引き続き住む場合、残りの兄弟に、マンションの遺産相続の割合に応じて、現金を支払うという形です。
共有分割とは、遺産を相続人が共有することをいいます。土地と建物が残された場合に、残された家族で共有名義にして、財産を共同で所持します。
これらの分割方法は、よく使われる手段として、現物分割の方法が挙げられます。ですが、まずは現物分割の方法を試してみて、それらが不平等だと感じてクレームが出たり、トラブルが起こって解決が困難という段階になれば、他の現物分割と換価分割を組み合わせて売却してみるなど、みなが納得の上で遺産分割できるよう、方法を考えていく必要があります。いまのところ、この4つが準備されています。
遺産分割の割合、分割協議はどのように行われる?
では遺産分割の割合について考えていきましょう。
分割協議はどのように行われるのでしょうか。
ステップを見ていきましょう。
まず、遺産分割協議書を作らなければなりません。これは後々、不動産の相続登記などに使う公的な書類となりますので、書面を作るために話し合います。亡くなった方の戸籍謄本を、生まれたときから亡くなるまで取り寄せ、その相続人を確定する必要があります。そして、協議書の作成には、残された兄弟全員の同意が必要となります。
知らなかった兄弟などがいた場合があります。残された兄弟間で合意していても、あとから現れた人が同意しなければ、遺産分割協議は最初からやりなおしです。そのため、先に戸籍謄本で相続人をすべて明らかにする必要があります。
それが済んだら、財産を決定します。調査をして、登記簿謄本、預貯金などの残高証明書、保険金などの照会、各種関係機関に申し入れて、書類を手に入れます。その書類をベースに、相続財産の確定を行い、分割に備えます。
そして、相続人全員が合意するまで話し合います。そして、その内容をベースに遺産分割協議書を作成し、全員の相続人が署名して実印を押印します。その書類を使って、関係機関で名義変更等を行い、遺産を相続の割合に応じて適切に分配がなされていきます。