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遺贈でも相続税はかかる!知っておきたい遺贈と相続税の基礎知識

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遺言により財産を与えるのが遺贈

遺言で死後の財産の処分方法を決められる

遺言とは、自分の死後に一定の財産上の効果を生じさせることを目的に行う意思表示のことです。自分が持っている財産を死後どのように処分してほしいかは、遺言により指定しておくことができます。遺言がない場合には民法上の相続のルール(法定相続)に従って相続が行われますが、遺言があれば遺言が優先されることになります。

相続人以外にも財産を遺贈できる

遺贈とは、遺言により財産を特定の人に与えることです。相続により財産を取得できるのは相続人のみになりますが、遺贈は相続人に対しても相続人以外に対してもできます。

包括遺贈と特定遺贈

遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。包括遺贈とは、「遺産の3分の1をAに遺贈する」というふうに、相続財産全体に対する割合を指定して遺贈する方法です。これに対し、特定遺贈とは、「○○の土地をBに遺贈する」というふうに、個別の財産を特定して遺贈する方法です。

 

遺贈でかかる税金は相続税

相続および遺贈には相続税がかかる

財産の贈与があれば、通常、贈与された側に贈与税がかかります。遺贈は遺言による贈与とも言えますが、贈与税ではなく相続税の課税対象になります。相続も遺贈も死亡により財産が移転するものですが、死亡による財産の移転では基本的に相続税がかかることになります。相続人以外の人も、亡くなった人から遺贈を受けた場合には、相続税を支払わなければならないことがあります。

不動産の遺贈では他の税金にも注意

不動産の所有権の取得に対して課税される税金として、不動産取得税があります。相続による不動産の取得の場合には不動産取得税はかかりませんが、相続人以外が特定遺贈により不動産を譲り受けた場合には、不動産取得税の課税対象になります。

また、不動産の所有権移転があったときには所有権移転登記を行いますが、登記申請の際には登録免許税がかかります。遺贈を原因とする所有権移転登記にかかる登録免許税は固定資産税評価額の2%となっており、相続を原因とする所有権移転登記の場合(0.4%)に比べて高税率となっています。

 

遺贈でかかる相続税の計算方法

遺産の額が基礎控除額以下なら相続税はかからない

遺贈により財産を譲り受けた場合、必ず相続税がかかるわけではありません。ある人が亡くなって相続税が発生するかどうかは、相続発生時にその人が持っていた財産が基礎控除額を超える場合になります。遺産の額が基礎控除額の範囲内であれば、相続人も遺贈を受けた人(受遺者)も相続税を払う必要はありません。

基礎控除額の計算方法

相続税の基礎控除額は、次の計算式で計算します。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

なお、上記の「法定相続人の数」には相続人以外の受遺者は含まれません。また、元々法定相続人だった人であれば、たとえ相続放棄していても「法定相続人の数」に含めます。「法定相続人の数」とは、実際に財産を取得した人の人数とは違うことに注意しておく必要があります。

相続税額の計算方法

相続税を計算するときには、「課税価格の合計額」から「基礎控除額」を控除した「課税遺産総額」が基準になります。課税価格の合計額とは、本来の相続財産にみなし相続財産(生命保険等)や3年以内の生前贈与を加え、債務等を差し引きしたものになります。

課税遺産総額から各人の相続税額を計算する方法は、次のとおりです。

(1) 課税遺産総額を法定相続人が法定相続分で相続したと仮定して、各法定相続人の仮の相続税額を計算する。

(2) (1)で出された各法定相続人の仮の相続税額を合計し、「相続税の総額」を算出する。

(3) 相続税の総額を、実際に財産を取得した人だけで取得割合に応じて分け、相続税額を算出する。

遺贈の場合には相続税額が2割加算される

遺産を取得した人のうち、次の①~③に該当する人については、上記(3)で算出された相続税額がそのまま納税額になります。

①被相続人の1親等の親族
②子の代襲相続人
③配偶者

一方、①~③以外の人が遺産を取得した場合には、上記(3)で算出された相続税額の1.2倍が納税額になります。

①~③以外の人は、遺産に対する生計の依存割合が低いと考えられるため、相続税が多くかかる扱いになっています。第三者に遺贈をする場合には、遺贈を受ける人が通常よりも多くの相続税を負担しなければならないことに留意し、遺贈の方法を考えた方がよいでしょう。