相続メディア nexy

相続メディア nexy

可愛い孫を保険金の受取人にして大失敗!孫に相続税が発生した理由とは?

更新日:

可愛い孫に生前贈与で節税対策したけれど

相続税対策として用いられることが多い「生前贈与」。文字通り、自分が生きているうちに財産を贈与することで、相続財産を抑制し、相続税を節税することが目的です。

生前贈与には贈与税が課税されるのですが、暦年課税の場合、年間110万円までの贈与は非課税なので、この枠を利用すれば長期的に多くの財産を非課税で贈与することができます。

生前贈与というと、自分の子などの相続人予定者に対してすることが多いですが、中には可愛い孫に財産を渡したいと、孫に生前贈与するケースもよくあります。

 

生前贈与と生命保険のダブル対策の問題点

資産家のXさんは、孫のことが可愛くてどうしても財産を渡したいという想いがありました。孫には相続権がないので、生前贈与によって、基礎控除の範囲である110万円以内の贈与を計画したのです。

さらに、孫が大好きな資産家Xさんは、生前贈与の他に「生命保険」を使った節税対策も行うことにしました。自分自身にかけた生命保険で、保険料の支払いを自分、保険金の受取人を孫として契約することで、より多くの財産を孫に取得させようと考えたのです。

孫に多額の相続税が発生

資産家Xさんが亡くなり、相続が発生しました。本来であれば、孫は相続人ではないため、孫に相続税は発生しません。資産家Xさんもそう考えていたでしょう。

ところが、生命保険の受取人が孫になっていたことで、孫にも予想外の相続税が課税されてしまったんです!

資産家Xさんは、非常に重要な3つのポイントを知らなかったために、可愛い孫に相続税を発生させてしまいました。

ポイント1:生命保険金を受け取ると相続税が発生する!

孫は相続人ではないので、何もしなければ相続税は発生しません。ところが、「相続や遺贈によって財産を取得した人」については、相続人ではなくても、相続税が課税されてしまうんです!

資産家Xさんは、生命保険金の受取人を孫にしたことで、「相続や遺贈によって財産を取得した人」にさせてしまい、孫を相続税の課税対象者にしてしまったことが大きな判断ミスとなりました。

また、生命保険金に対しては「500万円×相続人の人数」の非課税枠がありますが、相続人ではない孫には適用されません。

ポイント2:過去3年以内の贈与も相続税の課税対象となる

相続税の課税対象となるのは、相続によって受け取る財産すべてですが、相続税の課税逃れを防止する目的で、相続開始前3年以内に慌てて行った生前贈与についても、「みなし相続財産」として相続税が課税されます。

ここまでは比較的知っている人が多く、実際、資産家Xさんもその知識はあったようです。

ただ、「孫への生前贈与には適用されない」と認識していたため、過去3年で生前贈与した330万円には影響がないと考えていました。

参考書を少し読んだ程度の人には、この知識が植えつけられているケースが多いのですが、正確には孫に適用されないのではなく、「相続や遺贈によって財産を取得した人」でなければ適用されないのです。

資産家Xさんはこのことを知らず、孫を生命保険の受取人に指定してしまったため、生前贈与330万円についても、まとめて相続税が課税されてしまったのです。

ポイント3:孫は相続税が2割加算

さらに追い討ちをかけたのが、相続税の2割加算です。次の人に対する相続税については、2割加算で課税されます。

・孫

・兄弟姉妹

・親族以外の人

・愛人など

簡単にいうと、配偶者、子、親以外が取得した相続財産に対しては、通常の2割増しの相続税が課税されるのです。

資産家Xさんはこのことを知っていたようですが、そもそも孫に相続税が課税されるとは思っていなかったのでしょう。

結果として、孫は生命保険を受け取ったことで、生前贈与330万円もまとめて2割増しの相続税が課税されることになってしまったのです。

 

連年贈与するなら、相続で財産を取得させない

贈与税の基礎控除を利用して毎年贈与することを「連年贈与」といい、節税対策の王道とされています。

ただ、せっかく連年贈与をしても、生命保険金などを受け取ってしまうと、過去3年の連年贈与分に対しても相続税が課税されてしまいます。

そのため、孫など相続人以外の人に連年贈与で節税対策をする人は、相続によって何も財産を取得させないように配慮する必要があるのです。

 

まとめ

相続税の節税は、断片的な知識だけで実施してしまうと、資産家Xさんのように失敗してしまう可能性があります。孫に生前贈与する際には、相続税が課税されないように十分注意しましょう。