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相続税の支払いが間に合わない!延滞税はいくらかかる?

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相続税申告の期限について

相続税申告は、「自分に相続があったことを知った日の翌日から起算して10ヶ月」が期限として定められていますので、相続人はその間に申告と納税を完了しなければ、延滞税などの対象となります。

10ヶ月と聞くと比較的余裕のある期間と感じるかもしれませんが、実はその油断が相続税申告の遅延や延滞税の負担につながっているのです。

10ヶ月はアッという間

10ヶ月とはいえ、ご家族がお亡くなりになると、最低でも四十九日の法要が終わるくらいまでは、葬儀関係の手配や手続きに追われるため、相続手続きを行うどころではないでしょう。

ですから、実質的に相続手続きに着手できるのは8~9ヶ月間程度と考えた方が無難です。

遺産分割協議が終わらない場合も

相続税申告が遅れがちになる原因の1つが、遺産分割協議の難航です。相続税には、相続人の税負担を軽くするために、様々な特例制度が設けられていますが、特例を適用するためには、前提として遺産分割が完了している必要があります。

ただ、相続開始10ヶ月以内となると、少しでも相続人間で割合に異論が出た場合、期限までに申告が間に合わなくなることが多いのです。

終わらない場合は未分割申告

遺産分割協議がまとまらない場合でも、相続税申告期限は待ってくれません。その場合は、法定相続分で相続したと仮定して申告する「未分割申告」をする必要があります。

未分割申告は、遺産分割が完了すれば適用できる「配偶者の税額軽減」、「小規模宅地等の特例」などの特例制度が適用できないため、かなり割高な相続税を納税しなければなりません。

そして、遺産分割が完了したら、更正の請求をして、払いすぎた相続税を戻してもらうという流れになります。

このように、相続税申告はたとえ遺産分割協議がまとまらないような場合でも、絶対に遅れてはならないのです。

 

相続税の延滞税について

相続税申告が間に合わないと、延滞税などのペナルティが課されます。期限が過ぎても申告しなかった場合、追加で課税される税金は以下の通りです。

無申告加算税

相続税申告の期限を過ぎても申告していない場合は、無申告加算税の対象となります。無申告加算税の税率は、国税庁によると事情に応じて次のように異なります。

・税務調査が入る前に自分から自主的に申告した場合:税率5%

・税務調査を受けた後に申告した場合:税率15%(納付税額が50万円を超える部分については20%)

このように、申告期限を過ぎたとしても、税務調査が入る前に申告すれば無申告加算税の税率が考慮されます。

なお、申告期限から2週間については猶予期間とされているため、その間に申告すれば無申告加算税は課税されません。

延滞税

相続税申告期限を過ぎた場合は、原則として期限の翌日から相続税が納付されるまでの日数に応じて、一定税率の延滞税が加算されます。

・延滞期間2ヶ月以内:税率 年2.6%

・延滞期間2ヶ月以上:税率 年8.9%

※2018年1月1日から2019年12月31日までの期間

延滞税の税率は毎年変動しますので、最新情報については国税庁のホームページで確認する必要があります。

延滞税はあくまで本税に対する税金なので、加算税に対しては課税されません。

延滞税の計算方法は以下の通りです。

延滞税額=(納付すべき相続税の額×延滞税率×延滞期間)÷365日

 

少なく申告した場合のペナルティ

たとえ、相続税の申告期限に間に合ったとしても、正しい税額よりも少なく申告した場合については、延滞税ではなく、次のようなペナルティが加算されます。

過少申告加算税

税務調査によって、相続税の過少申告が発覚した場合は、追加納税額に対して10%の過少申告加算税が課税されます。ただし、追加納税額が期限内に申告した税額、もしくは、50万円のいずれか多い金額を超える部分に対しては15%となります。

なお、税務調査が入る前に自主的に気が付いて修正申告をすれば、過少申告加算税は免れます。

重加算税

遺産隠しなど悪質な手口が発覚した場合は、重加算税という非常に重いペナルティが課されます。

遺産隠しなどで相続税申告をしなかった場合:相続税総額の40%

上記以外:納付した相続税額の35%

重加算税が課税されると、税額は一気に膨らみますので、正しい申告を徹底しましょう。

 

まとめ

期限までに相続税申告が間に合わないと、延滞税や加算税などのペナルティがあり、税率についても、悪質性が高いものほど高くなるように設定されています。

10ヶ月という期限は決して長くはなく、遺産分割協議が難航しているケースにおいては、税理士などの専門家に相談しなければ延滞税の対象となる可能性が高いです。

すでに相続税申告期限が迫ってきている方は、できる限り早く、相続税を得意としている税理士に相談することをおすすめします。