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相続税の課税対象となる財産の境界線とは

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相続税のかかる財産

相続や遺贈によって被相続人から受け取った財産には、相続税が課税されます。原則として、金銭に換算して見積もり可能なすべての財産が、相続税のかかる財産という認識です。

ここでは、意外と見落としやすいものも含めて、相続税のかかる財産についてご紹介したいと思います。

一般的な相続財産

被相続人が保有していた以下のような財産については、すべて相続税がかかります。

土地や建物

不動産については、時価ではなく、路線価や固定資産税評価額をもとに算出した金額が相続税評価額となります。

また、登記されている不動産に限らず、未登記のものについても相続税が課税されるため、注意が必要です。

株式

上場株式については、原則として死亡した日の最終価格で評価しますが、次の3つのうちの最も低い額を超える場合は、その低い額を評価額とします。

1:課税時期の月の毎日の最終価格の平均額

2:課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額

3:課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

中小企業経営者の相続における非上場株式については、原則的評価方式、又は特例的な評価方式の配当還元方式によって計算をします。計算方法は非常に複雑なので、税理士に依頼しましょう。

預貯金、現金

預貯金については、銀行に残高証明書の発行を依頼します。

宝飾類、骨董品

金銭的価値のあるものについては、すべて金額に置き換えて相続税が課税されます。

みなし相続財産

被相続人から直接受け取ったものではないものの、相続をきっかけとして取得したということから、相続財産とみなして相続税の対象となる財産のことを「みなし相続財産」といいます。

生命保険金

被相続人にかけられていた生命保険で、保険料を被相続人が負担していた場合は、相続税の課税対象となります。ちなみに、保険料負担者が相続人自身で受取人と同一の場合は所得税、受取人が別人の場合は贈与税の対象です。

退職金等

被相続人が亡くなられてから3年以内に支給が確定した退職金や功労金については、相続税の課税対象となります。

非課税枠について

生命保険と死亡退職金については、以下の非課税枠が設定されています。

500万円×法定相続人の数=非課税限度額

非課税限度額の範囲内であれば、相続税を大幅に節税することが可能です。

贈与財産

生前贈与については、贈与税が課税されますが、以下のケースについては、相続税の課税対象となります。

・相続開始前3年以内にした贈与財産

相続税逃れを防止する目的で、贈与税の基礎控除額110万円以下の部分も含め、相続税の課税対象となります。

・相続時精算課税制度を使っていた方の贈与財産

贈与財産については、相続財産の中で漏れが生じやすい部分なので、相続が発生したら直近3年以内の贈与については、通帳記帳するなどして、正確に思い出すことが重要です。

 

相続税がかからない財産

相続財産のほとんどが相続税の課税対象となりますが、以下の財産については非課税財産のため、相続税の課税対象外です。

お墓関係

お墓、位牌、仏壇、仏像、神棚など、先祖から受け継ぐ慣習のある財産については、相続税の対象外です。

ただし、あからさまに節税対策と思われるような高額なもの(金の仏像など)については、例外的に相続税の課税対象となります。

寄付した財産

社会福祉士事業、更生保護事業、学校といった公益性の高い事業を行っている人が、受け取った財産を相続税申告期限までに寄付した場合、相続税の課税対象外となります。

 

遺産分割協議との誤解に注意

相続税の課税対象かどうかを考える際には、遺産分割の対象と混同しないように注意する必要があります。

今回ご紹介した相続税の課税対象となる財産については、あくまで相続税を計算する際の区分であり、遺産分割の区分とは一致しないのです。

例えば、みなし相続財産である生命保険金については、相続税は課税されますが、保険金自体は受取人固有の財産であるため、遺産分割の対象財産からは外れます。

この違いを知らない人が多く、生命保険金が遺産分割の対象から外れるからか、相続税も対象外と思い込んで申告漏れを起こすリスクがありますので、十分注意しましょう。

 

まとめ

相続税を計算する際には、課税対象か否かについて間違いのないよう、区別してから計算すると、申告漏れを防ぐことができます。

ただし、相続税評価額の計算方法が複雑な不動産や、株式が相続財産に含まれている場合は、できる限り税理士に依頼して相続税申告をしてもらった方がよいでしょう。