相続税申告の必要書類:共通する必要書類
相続税の課税対象となる方については、下記の添付書類が必要になりますので事前に取得が必要です。ここではよくある質問として、必要書類の取得場所や書類の意味についても合わせて解説します。
・亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本、住民票の除票、戸籍の附票
戸籍謄本は本籍地の役所の窓口で取得することができ、遠方に住んでいてすぐに行くことが難しい場合については郵送での取得も可能です。
また、住民票の除票は住所地を管轄する役所にて取得できます。
・相続人の全員の戸籍謄本、住民票、戸籍の附票、印鑑証明書
戸籍関係は本籍地、それ以外は住所地の役所にて取得できます。
戸籍謄本と抄本の違いとは?
役所の窓口で戸籍謄本を取得しようとすると、申請用紙に謄本と抄本の記載がありどちらを取得するか選択できるようになっているのですが、何が違うのかという質問をよくされます。
戸籍謄本には家族全員分の情報が記載されており、戸籍抄本には本人の情報のみ抜粋して記載されるという違いがあり、基本的にどちらを取得しても問題はありません。
すでに結婚して嫁いでいる相続人の中には、現在の自分の家族構成を他の相続人に知られたくないという人もいるかと思いますが、戸籍抄本であれば自分の情報しか記載されませんので謄本ではなく抄本を取得するとよいでしょう。
相続税申告の必要書類:現預金を相続する場合
相続財産として相続する可能性が最も高いのが現預金かと思います。
現預金を相続する場合については、次の必要書類を準備する必要があります。
・預金残高証明書、既経過利息計算書、5年分の通帳・定期預金の証書
亡くなられた方が口座を保有していた銀行に発行を依頼します。
既経過利息計算書とは、亡くなられてから預貯金を解約するまでの間に発生した利息の計算書のことをいいます。
預金残高証明書だけだとその時点までの残高となりますが、既経過利息計算書を取得することで利息分についても確認することが可能です。
つまり、相続税は預金残高本体だけでなく解約するまでに発生した利息も含めた額に課税されるため注意しましょう。特に定期預金に積立している方が亡くなられた場合は、既経過利息が高額になることもあるため申告が漏れないよう注意が必要です。
相続税申告の必要書類:不動産を相続する場合
相続税申告の必要書類のうち最も複雑なのが不動産に関する必要書類です。
不動産を相続する場合については、土地と建物それぞれについて次のような必要書類を準備する必要があります。
・全部事項証明書(いわゆる登記簿謄本)
・地積測量図
・公図
これらの書類については、法務局であれば全国どこでも取得することが可能ですし、郵送による手配も可能です。
・名寄帳、固定資産税評価証明書
東京23区については都税事務所、それ以外の地域については原則として市区町村役場の資産税課で取得することが可能です。
役所で取得する必要書類としては概ね上記の通りです。
あとは、下記必要書類についてはご本人が保管しているはずなので確認しましょう。
・不動産売買契約書
・賃貸借契約書
・間取り図面
・住宅地図(地図などをコピーして作成)
相続税申告の必要書類:自動車を相続する場合
相続財産に自動車が含まれている場合は、下記の書類が必要になります。
・車検証の写し
・走行距離、車種、色などがわかる書類の写し
なお、相続が発生した際にカーディーラーに相談した方が、軽自動車は相続税の課税対象ではないと案内を受けることがあるようですが、これは大きな間違いで軽自動車についても相続税の課税対象となるため相続税申告の際に漏れなく申告する必要があります。
最近では燃費のいい軽自動車の方が普通車よりも買い取り価格が高くなることもあるため、むしろ軽自動車の方が資産価値は高いといっても過言ではありません。
そもそもこのような誤解が生じているのは、自動車を相続する際の手続きにあります。
普通車を相続する際には必要書類として「遺産分割協議書」が必要になるため、名義変更するためには必ず他の相続人と協議を終えている必要があります。
一方、軽自動車については名義変更手続きに遺産分割協議書の添付が不要なので、実質的には単独で手続きができてしまうのです。
そのためカーディーラーの方の中には軽自動車は相続税の対象外という認識を持っている人がいるのですが、実際は必要書類の違いがあるだけで相続税の課税対象になりますので間違えないよう注意しましょう。
まとめ
今回は相続税申告の必要書類について解説してきました。
相続税申告を税理士に依頼する場合でも、本人が保有している書類については相続人が自分で手配をしなければならないため知っておく必要があります。
必要書類がそろわないと相続税申告ができないので、早めに準備するよう心がけましょう。