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法改正で土地が捨てられるようになるって本当?

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使い道のない土地は負の遺産

相続が発生して財産調査をすると、それまで家族も知らなかった遺産が発覚することが多々あります。土地についても例外ではありません。

特にバブルを経験している世代の方がお亡くなりになると、いわゆる原野商法などで買わされてしまった地方の土地の権利証が出てくることがあり、相続人の方が頭を悩ませることがあります。

「所詮土地なんだから、持っている分にはマイナスにならないでしょ」

そう思っている人もたくさんおられますが、実は使う予定のない土地を保有することは負の遺産化する可能性が非常に高いのです。

土地が負の遺産になる理由

土地は建物のように劣化していくわけではないので、所有することについてランニングコストがかかるというイメージがないかもしれませんが、決してそんなことはありません。

土地を所有すると、最低でも次のようなランニングコストがかかる可能性が出てきます。

土地のランニングコスト1:固定資産税

土地は保有しているだけで固定資産税が課税されます。

借り手がいれば地代が入ってくるので問題ありませんが、ただ所有しているだけだと毎年固定資産税がかかり続けます。

しかも、ただ更地の状態の土地は固定資産税の金額がかなり割高になるため、負担は非常に大きいです。

土地によっては固定資産税が非課税になっているケースもあるため安心している人もいるかもしれませんが、実はそこにも大きな落とし穴が眠っています。

相続税はしっかりかかる

「固定資産税が非課税の土地だから、放置しておいても問題ないだろう」

そう考えていると、将来非常に痛い目を見ます。

というのも、固定資産税が課税されないような価値の土地でも、相続が発生した際にはしっかり「相続税」が課税されます。

そもそも固定資産税は課税標準額が30万円未満であれば非課税という措置がとられますが、相続税については固定資産税評価額をベースに税額が計算されるのです。

しかも、山奥の路線価がついていないような土地の場合は、倍率方式という計算方法によって相続税を計算するのですが、この倍率が意外と高いケースが多く、実際に相続税を計算するとかなりの額になることが多々あります。

実際、土地の相続税負担が大きすぎて相続放棄を検討する方も少なくありません。

では、このような場合土地の相続を放棄することはできないのでしょうか。

 

土地は寄付できないのか

こういう話をすると、相続人の方からこんな意見をいわれることがよくあります。

「だったら国や自治体にタダで寄付すればいいだけでしょ」

「所有権を放棄すれば済む話では」

残念ながら、このどちらも解決策にはなりません。

国や自治体は寄付を受けない

よほど使い道のある土地であれば別ですが、基本的に国や自治体が不要になった土地の寄付を受けることはありません。

「タダなのになぜ?」

と思うかもしれませんが、国や自治体も土地を保有することでかかるコストを熟知しているため、土地の寄付に関しては完全に拒否するのです。

特に固定資産税が課税されている土地であれば、寄付を受けることで税収が減るわけですから寄付を受けるメリットはないことになります。

所有権の放棄はできる?

土地はゴミ箱に捨てるわけにはいかないので、所有権を放棄することができません。

つまり、誰かがもらってくれなければ、永久に自分で保有し続けなければならないのです。

ですから、不要だからといって所有権を放棄できません。

不法投棄のリスク

固定資産税や相続税以外にも土地を保有するリスクは存在します。

例えば離れた場所に土地を保有していると、ゴミなどを不法投棄されたり、違法駐車されたりするリスクが高まるのです。

そういう状態にならないよう管理することにかかるコストも考えると、活用できない土地を持つということはかなりのリスクを伴うといえるでしょう。

 

土地の放棄制度に期待

このように不要な土地の相続が相続人にとってかなりの負担となることから、現在政府では土地の放棄制度を検討しているそうです。

正式決定までには時間がかかると思いますが、実現すれば不要な土地の所有を放棄できる可能性が出てきます。

ただ、簡単に放棄できるとすると「どうせ放棄できるから管理は適当でいいや」というモラルハザードの問題も予想されるため、放棄できる基準などの整備が必要になるでしょう。

 

まとめ

土地が負の遺産になるというイメージはなかなか持ちにくいかもしれませんが、放棄できないうちはかなりのハイリスクを伴うことがご理解いただけたかと思います。

もしも使っていない土地の所有権を保有している方は、そのままにしていると次の世代に迷惑がかかる可能性がありますので、早めに売却する、もしくは賃貸経営するなどの対策をとりましょう。