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相続した不動産を放置していると罰金に?!

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権利部は義務ではなかった

これまで所有権などの権利部については登記が義務化されていませんでした。

とはいえ、ローンを組んで不動産を購入した場合については、所有権や抵当権の権利について当然のように登記をするので、「義務化されてもそんなに変わらないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、実はそんなことはありません。

その理由は、改正案を国会に提出するに至った理由を知ることでわかります。

所有者不明の土地の解消

近年、国交省が約62万筆の地籍調査を行ったところ、所有者が登記簿からわからなった土地が全体のおよそ2割もあったんだそうです。

なぜそんな状態になってしまっているのでしょうか。

これには大きく分けて2つの原因があるといわれています。

1:相続登記の未完了

通常、お金を出して土地を購入した時というのは自分の所有権という権利を示すためにも、必ず登記申請するのがいわば当たり前です。ところが、相続によって土地を取得した場合というのは状況がちょっと違ってきます。

 

例えば郊外の利用価値の低い土地や、使う予定のない土地などについては固定資産税の負担が相続人のランニングコストとなるため、これを逃れるために意図的に登記申請をしないというケースがあるのです。

義務化されていないので、単に面倒で費用も掛かるからという理由もあるとは思いますが、いずれにしても強制できないため相続したまま放置されているケースがよくあります。

2:住所変更登記の未完了

所有者が引越しなどで住所を移転した場合は、所有している不動産の登記名義も変更する必要があるのですが、費用もかかるし面倒という理由でそのまま放置するケースがよくあります。

このように相続登記と住所変更の2点について登記しない人が散見されることが、大量の所有者不明土地を生み出した原因と考えられ、今回の改正案の提出に至ったのです。

 

改正案の罰則規定について

今回の法改正で最も注目すべきは、単に義務化するということではなく、罰則が規定されるということです。具体的には、以下のような内容です。

・相続を知ってから3年以内に登記申請することを義務化

・違反した場合は10万円の過料

・10年間、遺産配分が決まらない場合は法定相続分で分割

また、相続登記以外についても次のように義務化されます。

・住所変更、氏名変更、法人の移転登記は2年以内に申請を義務化

・違反した場合5万円以下の過料

このように改正法案が施行されれば、所有者がどこに住んでいるのか登記簿を見ればすぐにわかるようになります。

改正法は予定では2023年の施行を目指しているそうですが、「じゃあそれまでに相続した分についてはセーフなのか」というと、そうではありません。

予定では改正法が施行後に取得したものについてはもちろんのこと、施行前に取得した不動産についても、一定の猶予期間を設けて義務化していく方向で調整されているそうです。

 

法改正による懸念

改正案が施行されれば、所有者不明土地が減っていいことずくめかというと、決してそうとは言い切れません。住所変更登記をしていない人の中には、不動産業者からの激しい営業を回避するためにあえて引越し後の住所を登記していないというケースもあるからです。

不動産の買取業者は、登記簿を取得してそこに記載されている住所にダイレクトメールを大量に送ったり、場合によっては突撃営業をしたりするというケースがよくあります。

最近はコロナ禍で所有者本人が自宅にいる確率が高まっていることから、このような営業行為が問題視され始めているのです。

住所変更登記が義務化されれば、不動産業者としては営業活動がしやすくなるので、所有者が望まぬ営業を受ける可能性は高まるでしょう。

 

まとめ

今後相続で不動産を取得した場合は、相続登記を放置するとのちにペナルティが発生する可能性が高いので、司法書士などに依頼して必ず相続登記することをおすすめします。

また住所変更登記については、意外と簡単にできますので面倒くさがらず速やかに申請するようにしましょう。