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実家の土地はトラブルのもと?今のうちにやっておくべき相続対策

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実家の相続はよくあるケース

核家族化が進む中、実家から離れた場所で暮らしているケースは多いと言えます。

中には正月やお盆すら帰省しておらず、長い間実家に帰っていないという方の中には、相続をきっかけとして数十年ぶりに実家に行くという方もいるようです。

このように、実家に長い間帰っていなかった人が実家を相続する場合、相続トラブルが発生する可能性が高いといえます。

ではどういう流れで実家の相続トラブルが発生するのか見ていきましょう。

 

実家の土地が売れないトラブル

地方の郊外に実家があるケースで相続が発生しました。

相続人は息子さん一人だったので遺産分割で揉めることはなかったのですが、問題に浮上したのが実家の土地の処遇です。

というのも、息子さんは東京でマイホームを購入して暮らしていたため、この先実家の土地を使う可能性はほぼゼロという状況でした。

となると問題になるのが固定資産税です。使う予定のない不動産をそのまま持ち続けるということは、無駄な税金を払い続けることにもなるからです。このようなケースでは、実家を貸家などとして賃貸に出すという選択肢もあるのですが、今回のケースでは賃貸需要が見込めない場所だったことから、息子さんは売却する方向を模索して不動産会社に相談しました。

ところがここで問題が発生しました。

実家の土地は古くからある場所で、建築基準法における接道義務が満たされていませんでした。つまり、開発行為に必要な道路などを確保しなければ土地を売ることが事実上不可能な状況だったのです。

 

近隣に相談するも協力が得られない

このようなケースの場合、近隣から土地の一部を譲渡してもらうなどして道路を自力で確保していくことになります。息子さんは近隣住人宅を訪問して事情を説明したところ、冷たく突き放されたそうです。

というのも、息子さんが実家に帰らなかったここ数十年の間、両親が実家の庭の手入れなどを怠っていたため虫などが大量発生していたらしく、近隣住民にものすごい迷惑をかけていたことがわかったんです。

息子さんは懸命に説得を続けましたが、近隣住民からは一切協力しないとの一点張りで結局実家の売却は諦めて固定資産税だけを払い続けるという負の遺産になってしまいました。

 

他人事ではない!できる対策

このような事例は決して珍しいことではありません。高齢の両親を実家に残したまま、長期間帰省していないと実家の敷地が荒れ放題になっているケースがあり得るからです。

これは本人がわざとやっているというよりは、高齢で体が不自由になるにつれ敷地の管理がだんだんとできなくなってくることによります。子供にも頼みにくくそのまま放置になってしまい、近隣住民と揉めるというケースは決して他人事ではないのです。

そこで求められる一番の対策はズバリ帰省です。

実家から離れて暮らしている方で、ご両親が高齢の方については、最低でも盆と暮れくらいは実家に帰省してご両親の健康状態を確認するとともに、近隣住民に迷惑がかかっていないかなども気を配っておくことが大切です。

 

生前に売却するという選択肢

資産価値の高い都心が実家という方は別ですが、地方の郊外に実家がある方については、ご両親がまだ健康なうちに住みやすいマンションなどへの住み替えを視野に、実家の売却を進めることもおすすめです。

需要の少ない地域の不動産は売れるまでに時間がかかるので、状況によっては生前譲渡も選択肢の一つとなるでしょう。

 

まとめ

相続というと遺産分割による揉め事がクローズアップされがちですが、相続人同士が揉めていないケースでも今回のように処分が困難な財産がある場合は要注意です。

特に不動産は売れなければ相続人が死ぬまで固定資産税の負担に苦しめられる事になります。

ですので、相続人が利用する予定がない不動産についてはできれば生前のうちから処遇について家族で話し合っておくことが大切でしょう。