遺言によって取得した不動産の相続登記における必要書類
被相続人が遺言書を遺しており、不動産を含む遺産の分割方法について具体的な指示をしている場合は、原則として遺言書の内容を尊重した遺産分割がなされます。
遺言書によって相続する不動産の相続登記における必要書類は、主に以下の8種類です。
1. 登記申請書
2. 相続関係説明図
3. 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
4. 被相続人の住民票(除票)
5. 不動産を取得する相続人の戸籍謄本
6. 不動産を取得する相続人の住民票
7. 遺言書
8. 固定資産税評価証明書
1の登記申請書は、どんなパターンの相続登記でも必ず使用する必要書類です。登記申請書は申請者自身が、A4の用紙に直筆またはパソコン入力で作成します。登記申請書の記載例は法務局のホームページでも公開されていますので、参考にできるでしょう。
2の相続関係説明図は、被相続人と相続人との関係を図の様式で記したものです。相続関係説明図は、戸籍謄本などの必要書類の原本還付を希望する場合に提出しますので、還付を希望しない人の場合は必要書類とはなりません。
3の被相続人の戸籍謄本は、被相続人の死亡の記載があるもの1通を用意すれば大丈夫です。5では、不動産を取得し相続登記する相続人の戸籍謄本も必要書類として挙がっていますが、場合によっては被相続人の戸籍謄本で援用が可能です。
6の不動産を取得する相続人の住民票は、登記申請書に住民票コードを記載した場合は省略可能な必要書類です。
7の遺言書は、公正証書遺言の場合を除き、家庭裁判所での検認を受けましょう。検認が済んでいない遺言書は、相続登記の必要書類として認められません。なお、公証役場で作成されている「公正証書遺言」については検認の必要はありません。
8の固定資産税評価証明書は、東京23区の場合は都税事務所、その他の地域では市町村役場の税務課で発行しています。
遺産分割協議によって取得した不動産の相続登記における必要書類
遺言書がない場合や、遺言書はあるが相続人全員が遺産分割協議によって遺産分割を決めることに合意している場合は、遺産分割協議によって相続人へ遺産が分配されます。
遺産分割協議によって取得した不動産の相続登記における必要書類は、主に以下の9種類です。
1. 登記申請書
2. 相続関係説明図
3. 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
4. 被相続人の住民票(除票)
5. 相続人全員の戸籍謄本
6. 不動産を取得する相続人の住民票
7. 遺産分割協議書
8. 相続人全員の印鑑証明書
9. 固定資産税評価証明書
先に紹介した遺言書のパターンと異なる必要書類は、3、5、7、8です。
遺産分割によって取得した不動産の相続登記では、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要書類となります。被相続人の連続した戸籍謄本は必要書類として非常に重要性の高いもので、ひとつでも抜けていると相続登記ができない場合があります。
遺産分割によって取得した不動産の相続登記では、相続人全員の合意があることを示すものも必要書類に含まれます。5と7と8は、相続人全員が今回の相続登記を了承していることを証明するための必要書類です。
法定相続によって取得した不動産の相続登記における必要書類
不動産の相続登記における法定相続とは、遺産分割協議を行わず(または遺産分割協議が成立しないため)各相続人の持分を法定相続分に従って配分し、不動産を相続人全員の共有状態にする場合を指します。
法定相続によって取得した不動産の相続登記における必要書類は、主に以下の7種類です。
1. 登記申請書
2. 相続関係説明図
3. 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
4. 被相続人の住民票(除票)
5. 相続人全員の戸籍謄本
6. 相続人全員の住民票
7. 固定資産税評価証明書
法定相続によって取得した不動産の相続登記の必要書類は、3パターンの相続の中で最も少なくなっています。
法定相続による不動産の相続登記では、相続登記される不動産は相続人全員の共有物となるため、必要書類として相続人全員の戸籍謄本および住民票が求められます。
まとめ
不動産の相続登記の必要書類は、どんな経緯で不動産を取得し、相続登記をすることになったかによって、微妙に異なります。
今回紹介した3パターンの不動産相続登記のいずれも、司法書士に手続きを依頼する際には、「司法書士への委任状」が必要書類として追加されます。