相続した土地の取引をする業者を見極める
不動産業者の数は非常に多いため、相続した土地の取引で詐欺に遭わないためには、信頼できる業者を見分けることが重要です。
相続した土地の取引をする業者を選ぶ際にチェックするべきことを、以下に4つご紹介します。
1.宅地建物取引業者票が提示されているか
不動産業者の事務所には、訪れる人に見やすい場所に「宅地建物取引業者票」を掲示することが義務付けられています。
宅地建物取引業者票を見ると、免許番号、所在地、代表者など、その業者に関する情報をある程度把握できます。国土交通省のホームページで免許番号を検索すれば、それが実在する業者かどうかも確認することができます。
相続した土地の取引を検討している不動産業者の事務所に入ったら、宅地建物取引業者票をチェックしましょう。どこにも掲示していないというのは論外ですから、詐欺の可能性を意識しましょう。
2.不動産公正取引協議会に加入しているか
実際の不動産の状態をごまかし、もっと良いもののように誤解させる広告は、顧客の立場からしてみれば詐欺一歩手前の迷惑行為です。
不動産公正取引協議会に加入している不動産業者は、詐欺的な広告はもちろん、広告規約に違反する紛らわしい広告を出すことも禁止されています。
よって、不動産公正取引協議会に加入しているということは、出している広告にも詐欺は無いと考えてよいでしょう。
3.処分を受けた形跡があるか
国土交通省のホームページでは「ネガティブ情報検索システム」と題し、過去5年間に何らかの行政処分を受けた不動産業者の情報を公開しています。
相続した土地を取引しようと考えている不動産業者に処分を受けた形跡があるか、事前に確認した方が安心です。
相続した土地を取引する不動産業者の目星をつけていない段階であれば、ネガティブ情報検索に載っている業者は除外して考えるという使い方もできるでしょう。
4.宅地建物取引士は実際に業務しているか
宅地建物取引業者票には、宅地建物取引士の氏名が記載されています。その本人が、その事務所で実際に業務をしているかを確認することも大切です。詐欺業者の場合、資格保有者の名義だけを借りて営業していることもあるためです。
ここまで、相続した土地の取引で最低限チェックしたい点をご紹介してきました。
ネット上では「免許の更新回数を見れば業者の信頼性は一発で分かる!」という情報もありますが、詐欺の危険性を探るという点では、実はほとんど役に立ちません。
免許の更新回数が多いとしても、免許を取得してから今日まで適正な業務を続けてきた証拠にはなりません。不動産営業の実態がほとんどないまま、時間だけが経過した可能性もあります。
免許取り消しまではいかない程度の軽微な違反の常習者である場合や、長年堅実に営業していた他人の不動産会社を買い取っただけの場合もあります。
逆に、更新回数が1回しかなくても、優良な業者はたくさんいます。有限会社から株式会社へ変更した場合など、免許の更新回数がリセットされるケースもあるからです。
相続した大切な土地を安心して任せられる不動産業者を見極める上で、免許の更新回数はそれほど気にしなくても良いでしょう。
相続した土地の取引で詐欺に遭わないための契約書チェック
土地などの不動産に限らず、多くの商取引において詐欺を見破るためのカギは、契約書です。
契約書は非常に文字数が多く、普段使わないような難しい言い回しや漢字も多いため、隅々まで目を通すのが億劫になり、つい読み飛ばしてしまうかもしれません。
しかし契約書を交わしてしまえば、その後「そこだけ読んでいなかった」「意味が分からなかった」などの言い訳は通用しません。本当に詐欺に遭ってしまったとしても、不注意を指摘されることになるのです。
とりわけ、土地などの高額取引においては、以下の8点を重点的に確認しましょう。
1.土地の代金の額
2.手付金の額
3.土地の代金の支払い方法
4.土地の代金を分割して支払う場合の、支払期限と金額
5.借地や借家の使用目的
6.借地権の譲渡や転貸についての取り決め
7.契約違反があった場合の解除権の行使についての取り決め
8.土地の所有権移転登記についての取り決め
契約書は、業者にとって都合の悪いことほど小さい字で、目につきにくい場所に書いてあるものです。詐欺に遭いたくないのであれば、一文字たりとも見落とさないつもりで契約書を熟読するようにしましょう。
まとめ
契約書の内容をチェックする際には、行政書士などの専門家に立ち会ってもらうことで、詐欺の可能性をゼロに近づけることができます。相続した土地の取引は、客観的に見て信頼のおける不動産業者を選びましょう。