土地を相続したら法務局で名義変更手続きが必要
土地は法務局で登記されている
不動産(土地及び建物)は、取引の安全のため、登記制度が設けられています。登記とは、法務局に備え付けられている登記簿に情報を記載して登録することです。現在は、法務局の登記簿はコンピュータ化されており、正式には登記記録と言います。
土地を相続したら相続登記手続きが必要
法務局の登記記録には、不動産の所有者が誰かという情報も記載されています。土地の相続があったときには、土地の所有者が変わったことになりますから、法務局の登記記録を書き換える手続きが必要になります。
不動産の所有者は、所有権移転登記によって変更します。相続を原因とする所有権移転登記は、一般に、相続登記と呼ばれます。土地を相続したときには、法務局で相続登記を申請し、名義変更の手続きをすることになります。
土地はどのようにして相続する?
故人が遺言で土地を相続する人を指定している場合には、遺言に従ってその人が土地を相続することになります。遺言がない場合、相続人が1人ならその人が当然土地を相続しますが、相続人が複数の場合には、土地は相続人全員が法定相続分ずつ共有することになります。
土地を共有のままにしておくこともできますが、通常は遺産分割により、土地を相続する人を1人に決めます。遺産分割協議を行ったときには遺産分割協議で決まった人が、調停や審判を行ったときには裁判所で決まった人が土地を相続することになります。
つまり、土地を相続するときには、次の3つのパターンがあります。
①遺言による場合
②法定相続の場合
③遺産分割による場合
土地の相続手続きは、相続のパターンによって異なります。
土地の相続手続きは、どこの法務局でする?
法務局は地域ごとに設けられており、管轄が決まっています。土地の相続登記手続きは、土地の所在地を管轄する法務局で手続きします。
なお、登記申請の手続きは、郵送でできるほか、インターネットを利用してオンライン申請により行うことも可能です。郵送やオンライン申請を利用すれば、法務局に直接出向かなくても手続きができます。
土地の相続手続きで法務局に提出する書類
土地の相続登記手続きは、法務局に登記申請書と添付書類を提出することによって行います。登記申請書の書式は法務局のホームページで参照できますので、ルールに従って作成します。添付書類は、土地の相続のパターンによって違います。
土地の相続は遺産分割協議によって行うケースが多いと思います。遺産分割協議で土地を相続し、相続登記を行うときには、次のような添付書類が必要になります。
戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
被相続人の出生から死亡までの戸籍のほか、相続人全員とのつながりがわかる戸籍を揃える必要があります。
遺産分割協議書
遺産分割協議書では、不動産を正確に特定しなければならないため、登記事項証明書を見ながら記載します。遺産分割協議書には相続人全員が実印を押印します。
相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議を相続人全員が自分の意思で行ったことの証明として、相続人全員の印鑑証明書を添付する必要があります。
被相続人の住民票(除票)
亡くなった人の住民票は除票として発行されますので、これを取得して添付します。
土地を取得する人の住民票
遺産分割協議の結果土地を相続することになった人の住民票を添付します。
相続関係説明図
相続関係説明図を添付した場合には、法務局で原本還付手続きを行うことにより、戸籍謄本を返却してもらえます。
固定資産評価証明書
土地の相続登記手続きの際には、土地の固定資産評価額の0.4%の登録免許税がかかります。固定資産評価額を証明するために、固定資産評価証明書または納税通知書に付いてくる課税明細を添付します。
法務局で土地の相続手続きをする手順
土地の相続手続きをするときの大まかな流れは、次のようになります。
1. 必要書類を取得
土地の相続手続きでは戸籍謄本が必要ですが、戸籍謄本一式を揃えるのには時間がかかります。戸籍謄本は早めに用意しておきましょう。
2.登記申請書を作成
登記申請書は、パソコンで作成しても、手書きで作成してもかまいません。手書きの場合には、鉛筆が不可で、黒インクのボールペンなどで作成する必要があります。
3.法務局に申請書類を提出
法務局の窓口に登記申請書と添付書類を提出します。
4.登記完了
1~2週間程度で登記が完了します。登記完了の際には、法務局から登記完了証と登記識別情報(権利証に代わる12桁の英数字)を受け取ります。