土地の相続があっても登記しない選択肢もある
土地を相続したら名義変更する
親が亡くなったら、親の持っていた土地を相続することがあります。親の土地を相続したときには、土地の名義を親から自分に変更しなければなりません。土地の名義変更手続きは、法務局で行います。
相続登記とは?
相続による土地の名義変更手続きは、相続登記と呼ばれます。土地を管轄する法務局で登記申請し、自分名義に変更します。
相続登記の際には、戸籍謄本や遺産分割協議書、土地の固定資産評価証明書などの書類が必要になり、登記申請の際には登録免許税も払う必要があります。
相続登記は法律上の義務ではない
土地を相続しても、必ず登記しなければならないわけではありません。相続登記は法律上義務付けられているものではなく、登記しないという選択肢もあります。相続登記しない場合でも、罰則などはありません。
相続登記しないことにメリットはある?
余計な手間が発生しない
土地の相続登記は、登記申請書を作成し、必要書類と一緒に法務局の窓口に提出して行います。手続きに必要な戸籍謄本は膨大な数にのぼることもあり、書類集めだけでも手間がかかります。
登記申請書も、どんな書式でもよいわけではなく、厳格な決まりがあります。しかし、相続登記しない場合には、そもそも面倒な手間が発生しませんから、それについてはメリットと言えます。
登録免許税がかからない
土地の相続登記をするときには、登録免許税を払わなければなりません。登録免許税は、土地の固定資産評価額に税率1,000分の4をかけた金額になります。
たとえば、土地の固定資産評価額が1,000万円の場合、登録免許税は4万円になります。相続登記しない場合には、登録免許税を払わなくてすみますから、費用がかからないというメリットがあります。
司法書士報酬がかからない
相続登記の手続きは面倒です。複雑なケースになると、専門的な知識も必要になるため、司法書士に依頼する人が多くなります。
司法書士に登記手続きを依頼すると、司法書士に報酬を払う必要があります。司法書士の報酬は安くはありません。登記しない場合には、司法書士報酬もかからないのがメリットと言えます。
相続登記しないことのデメリットは?
自分の土地であると主張できない
相続登記に限らず、土地の登記は、義務付けられているものではありません。なぜ登記をするのかというと、登記しないと対抗力が付かないからです。
対抗力とは、自分が土地の所有者であると第三者に対して主張できる効力です。土地をただ持っているだけなら登記しないでも困ることはないかもしれません。しかし、土地を取引に使う以上、対抗力が必要ですから、登記しないと困ることになります。
登記しないと土地の売却ができない
相続した土地を使わない場合には、売却を考えることも多いと思います。土地を売却するときには、相続登記していることが前提になります。
亡くなった人名義の土地は、そのままでは売却できません。亡くなった人から買主へ直接登記することはできず、一旦、相続人名義にする必要があります。
相続登記するとなると、必要書類を揃えるだけでも時間がかかってしまい、すぐに手続きができないことがあります。相続登記しないで放置していると、売却したいときに売れないという問題が発生します。
後日相続登記するときに必要書類が揃わないことがある
土地を相続後、登記しないまま放置した場合、何年も経ってから登記しようとすると、手続きがスムーズに進まないことがあります。
相続登記の際には亡くなった人の住民票(除票)が必要ですが、役所での除票の保存期間は5年となっているため、年数が経過していると取れないことがあります。亡くなった人の住所を証明するその他の書類も用意できなければ、手続きが進まないこともあり得るのです。
次の相続が発生することがある
相続登記しないで放置している間に、次の相続(二次相続)が発生してしまうこともあります。最初の相続(一次相続)で遺産分割協議が終わっていない場合、一次相続の相続人と二次相続の相続人の全員で遺産分割協議をしなければなりません。
相続人の中に既に亡くなっている人がいれば、その相続人も手続きに参加する必要があるため、高齢になり、認知症になっている人がいれば、後見人をつけなければならないこともあります。
このように、相続登記しないまま放置していると、いざ手続きする段階に関与する人が増えるなどし、手続きが非常に煩雑になってしまうことになりますので注意しましょう。