土地の相続に関して司法書士に依頼できる手続きの例
実際の土地の相続について、司法書士に依頼されることの多い手続き例を3つご紹介します。
1.土地の相続登記
土地の所有権を引き継いだ相続人は、法務局で相続登記手続きを行い、登記名義を変更する必要があります。
土地を相続する人自らが、土地の相続登記手続きをすることもできます。しかし、現実には時間が取れなくなったり、書類収集が煩雑で訳が分からなくなってしまったりして、途中で司法書士に依頼することになるケースも多々あります。
なお、土地を相続するのであれば、相続登記だけ司法書士に依頼することもできます。ちなみに、依頼者から料金をもらって登記手続きを行えるのは、司法書士だけです。
2.相続放棄の手続き
土地が相続できると思って喜んでいたものの、よく調べてみたら被相続人が多額の借金を作っていた、ということもあります。相続人は、相続する財産としない財産を選ぶことはできません。土地を相続するなら、同時に借金も相続することになります。
しかし、被相続人の作った借金が無条件に配偶者や子供に相続されることは、公正さに欠けることです。そのため、相続人には、相続のパターンを選ぶ機会が与えられています。
相続パターンには「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つがあります。
単純承認は、借金を含む全財産を無条件で相続することを表します。
限定承認は、被相続人が遺した価値のある財産の範囲に限定して、借金などの債務を弁済するという条件付きの相続です。
相続放棄は、全財産を相続しないという手続きです。
相続放棄する場合は、家庭裁判所に申請する必要があります。相続放棄したいが手続きの時間がない場合は、速やかに司法書士に依頼することを検討しましょう。相続放棄の決定には期限があり、期限を過ぎれば単純承認扱いになってしまうからです。
3.公正証書遺言の作成
近年、間違いのない遺言書として注目が集まっているのが「公正証書遺言」です。遺言書と言えば、被相続人が自分で作成する自筆証書遺言ですが、一般人が作成するとミスが起きやすく、無効になることもあります。
その点、公正証書遺言は、遺言書作成のプロである公証役場の公証人が作成するため、無効になることはありません。公証役場で遺言書を預かってもらえるので、紛失したりするリスクもないのです。
公正証書遺言は遺言書としての確実性が高い反面、証人を2人用意したり、公証役場に何度か足を運んで打ち合わせしたりと、時間と手間を要する手続きでもあります。また、公正証書遺言の作成においても、司法書士による一貫したサポートが期待できます。
土地の相続を司法書士に依頼する場合の料金内訳と、料金相場
先ほどご紹介した3つのケースで必要になる司法書士料金の内訳と、料金相場をご紹介します。
土地の相続登記にかかる司法書士料金
司法書士報酬
司法書士の業務報酬となる料金です。料金相場は5万円~7万円ほどとなります。
登録免許税
土地の相続登記で必ず必要になる税金です。土地の固定資産税評価額の0.4%がかかります。
各種実費
手続きに必要な戸籍謄本や住民票、登記事項証明書などの発行手数料の実費や、郵便切手代などの料金が含まれます。
交通費その他
裁判所や法務局、市町村役場などに移動する際の交通費です。司法書士事務所によって、出頭する際の日当の料金もかかる場合があります。
相続放棄にかかる司法書士料金
相続放棄申述書作成代行料金
相続放棄の申請に必要な、相続放棄申述書作成にかかる料金です。料金相場は3万円~5万円ほどとなります。
各種実費
手続きに必要な戸籍謄本などの発行手数料の実費や、郵便切手代などの料金が含まれます。
書類収集手数料
被相続人や相続人の戸籍謄本など、相続放棄手続きに必要な書類を収集するための料金です。料金相場は1通あたり1,000円ほどです。
公正証書遺言の作成にかかる司法書士料金
司法書士報酬
司法書士の業務報酬となる料金です。料金相場は3万円~5万円ほどとなります。
書類収集手数料
戸籍謄本や登記事項証明書など、公正証書遺言の作成手続きに必要な書類を収集するための料金です。料金相場は1通あたり500円~1,000円ほどとなります。
まとめ
最近は、無料相談を実施している司法書士事務所が増加しています。料金が気がかりな場合は、無料相談で司法書士に直接尋ねてみましょう。土地の相続に関係する問題があまりに多い場合は、土地だけでなく相続全般の手続きについて、丸ごと司法書士へ依頼してしまった方が良いでしょう。