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相続する不動産の課税価格に影響する4つの要素

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土地の分筆・分割によって課税価格は下がる

相続する不動産が土地の場合、相続人が取得した土地ごとに相続税の課税価格が計算されます。そのため、1つの土地を1人の相続人が相続するよりも、複数の相続人で分けて相続することで、土地全体の課税価格を下げることができるのです。

登記上は1つの土地のままで良いのであれば分割を、登記ごと土地を分けたい場合には分筆の手続きをすることで、土地を分けることができます。

ただし、元々小さな土地であるなら、相続時に無理に分けることはお勧めできません。狭小地になってしまうと建物の建築も難しくなりますし、将来的に売却する際にも価格が安くなってしまいます。

また、明らかに相続税の節税を狙って分けたと税務署に見なされれば、土地の分割や分筆は認められなくなってしまうこともありますので、注意しましょう。

土地の分割や分筆は、必ず専門家に相談してから行うようにして下さい。

 

賃貸物件の建築によって課税価格は下がる

相続する不動産が更地の場合は、アパートやマンションなどの賃貸物件を建てることによって相続税の課税価格が下がります。賃貸物件が建つ土地は「貸家建付地」です。以下のように課税価格を計算します。

「自用地としての課税価格-(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=課税価格」

自用地とは、更地や宅地として利用されている土地のことです。借地権割合は、不動産が面する道路の路線価図に記載されています。借家権割合とは、借家人(入居者)が持つ権利のことで、全国一律30%です。賃貸割合は賃貸物件の入居率であり、満室であれば100%となります。

 

利用価値が著しく低い不動産は、課税価格が下がる

一般的な不動産と比較して、著しく利用価値が低いと見なされる不動産があります。例として、以下のような条件に該当する不動産であれば、相続税の課税価格は下がるでしょう。

・地盤の凹凸が甚だしい
・私道が含まれている
・著しい振動がある
・著しい騒音がある
・土壌が汚染されている
・異臭があって住環境が悪い
・埋蔵文化財がある
・墓地に隣接している
・道路との高低差が著しい

このように、一般的に許容されないレベルの問題があることが条件ですが、どれほどの状態であれば「著しい」または「甚だしい」問題なのかという明確な基準はないため、専門家でも判定は非常に困難です。不動産鑑定士に意見を仰ぐと良いでしょう。

 

画地調整によって課税価格は下がる

路線価方式で計算された不動産の課税価格に対して、土地の形状や立地条件などに合わせて相続税の課税価格を調整することを「画地調整」と言います。

以下のような土地の相続では、画地調整によって課税価格が下がる場合がありますので、詳しく見てみましょう。

1.奥行が短い、または長い不動産

奥行が短すぎる、または長すぎる場合、不動産としての利便性は低いと見なされ、課税価格が下がります。画地調整の種類は、奥行価格補正です。

2.間口が狭い不動産

間口が狭い不動産は、間口の広い不動産と比べて利便性が低く、課税価格が下がります。画地調整の種類は、間口狭小補正です。

3.奥行が極端に長い不動産

間口の2倍以上の奥行があり、細長くなっている不動産の相続では、1の奥行価格補正よりもさらに課税価格が下がります。

4.がけ地がある不動産

がけ地を含む不動産の相続では、路線価にがけ地補正率をかけて課税価格の計算をします。がけ地と言っても、傾斜具合や面積は様々なので、土地家屋調査士に査定を依頼した方が良いでしょう。

5.不整形地に該当する不動産

正方形や長方形以外の形をしている土地も、不動産としての利便性が低いために課税価格が下がります。がけ地と同様、正確な課税価格計算は非常に難しいため、専門家に相談してみましょう。

 

画地調整で課税価格が上がる不動産も

画地調整は、利便性の低い不動産の相続税課税価格を下げるだけのものではありません。利便性の高い不動産を相続するのであれば、逆に課税価格が上がってしまうこともあります。

では、課税価格が上がる不動産を2つ見てみましょう。

角地にある不動産

不動産の正面と側面に道路がある角地は、一方だけが道路に面している不動産と比較して利便性が高く、相続税の課税価格も上がります。画地調整の種類は、側方路線影響加算です。

正面と裏面に道路がある不動産

不動産の正面と裏面に道路があると、どちらからでも出入りできますから、利便性が高いとみなされ相続税の課税価格が上がります。画地調整の種類は、二方路線影響加算です。

 

まとめ

今回は、不動産の相続税課税価格を下げる要素をメインにご紹介してきました。いずれも、一般の人が自分で正確に価格を計算することは困難ですから、費用がかかるとしても専門家に作業を依頼するようにしましょう。