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不動産の相続で印鑑証明書が必要になるケースとは?

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不動産の所有権移転登記で印鑑証明書が必要になる場面

所有権移転登記は登記義務者と登記権利者の共同申請

不動産の所有者が変わったときには、法務局で所有権移転登記を行います。所有権移転登記は、通常、登記義務者と登記権利者が共同で申請します。

登記義務者とは不動産の所有権を失う人で、登記権利者とは所有権を得る人になります。AからBへの所有権移転登記の場合には、Aが登記義務者、Bが登記権利者となります。

共同申請の場合には登記義務者の印鑑証明書が必要

不動産の所有権移転登記の際、登記義務者は権利を失って不利益を被る側ですから、厳重な意思確認が求められています。

登記義務者は申請書に実印を押した上で、印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)を添付しなければなりません。登記申請の際には、登記義務者が持っている権利証も添付が必要です。

一方、登記権利者については、印鑑証明書は不要です。登記権利者は住所を登記する必要がありますから、住所証明書(住民票または戸籍の附票)を提出します。

相続登記では登記義務者の印鑑証明書は不要

不動産の相続では、被相続人の死亡を原因として、相続人に不動産の所有権が移転します。そのため、通常の所有権移転登記と違い、相続登記には登記義務者がおらず、登記権利者である相続人だけで申請できます。

登記義務者がいないため、相続登記では登記義務者の印鑑証明書や権利証の提出は不要です。ただし、相続登記の際には、登記に関与する人の印鑑証明書が必要になるケースがありますから、注意しておきましょう。

 

法定相続による登記では印鑑証明書は必要ない

不動産の相続登記は、一般には遺産分割が終わってから行いますが、遺産分割前に法定相続による登記をすることも可能です。法定相続による登記は、共同相続人がいても、そのうちの1人から申請ができます。

法定相続による登記では、誰かの印鑑証明書が必要になることは基本的にありません。法定相続による登記の必要書類は、次のようなものです。

・相続関係についてわかる戸籍謄本一式
・登記権利者(相続人全員)の住所証明書(住民票または戸籍附票)
・被相続人の住所証明書(除票または戸籍附票)
・不動産の固定資産評価証明書

 

遺産分割協議による場合には相続人全員の印鑑証明書が必要

遺産分割協議により不動産を取得する相続人が決まった場合には、不動産を取得する人が単独で相続登記を申請します。

遺産分割協議による相続登記の場合には、遺産分割協議書を提出する必要があります。遺産分割協議書には相続人全員の印鑑証明書を添付します。この場合の印鑑証明書は、登記義務者の印鑑証明書ではないので、3か月以内という期間制限はありません。

その他には、法定相続の場合と同様、戸籍謄本一式、被相続人及び登記権利者(不動産を取得する人)の住所証明書、不動産の固定資産評価証明書が必要です。

 

遺言がある場合には法定相続人が不動産を取得するかどうかで違いがある

遺言があるケースでは、不動産を取得する人が法定相続人かどうかで手続きや必要書類が変わります。

法定相続人が不動産を取得する場合には印鑑証明書は不要

遺言により法定相続人が不動産を取得する場合には、不動産を取得する相続人が単独で相続登記を申請します。手続きの際に、誰かの印鑑証明書が必要になることはありません。

登記申請時には、遺言書のほか、被相続人の死亡時の戸籍謄本及び不動産を取得する相続人との関係がわかる戸籍謄本が必要です。また、不動産を取得する人及び被相続人の住所証明書、不動産の固定資産評価証明書も提出します。

相続人以外が不動産を遺贈された場合には登記義務者の印鑑証明書が必要

遺言で相続人以外の人に不動産が遺贈された場合には、相続登記ではなく、遺贈の登記を申請します。遺贈の登記では相続登記と違って登記義務者が存在するため、登記義務者と登記権利者で共同申請を行うことになります。

遺贈の登記では、遺言執行者が選任されているかどうかで、登記義務者や必要書類が変わります。

【遺言執行者が選任されている場合】

遺言執行者が登記義務者になるため、遺言執行者の印鑑証明書が必要です。遺言書、被相続人の死亡時の戸籍謄本、被相続人及び不動産を取得する人の住所証明書のほか、被相続人が持っていた権利証も提出します。不動産の固定資産評価証明書も必要となります。

【遺言執行者が選任されていない場合】

相続人全員が登記義務者になるため、相続人全員の印鑑証明書を添付します。遺言書、戸籍謄本一式、被相続人及び不動産を取得する人の住所証明書、権利証、不動産の固定資産評価証明書も提出します。