不動産の評価方法その1 自分で使っている建物の評価方法
不動産のうち、自宅や事業用店舗として自分で使っている建物(自家用家屋)の評価方法は、次のとおりです。
自家用家屋評価額=固定資産評価額×1.0
不動産の固定資産評価額に国税局長の定める倍率をかけて評価する評価方法は、倍率方式と呼ばれます。相続した不動産のうち、建物は倍率方式で評価されます。倍率は1.0に固定されているため、建物の相続税評価額は固定資産評価額と同じです。
不動産の評価方法その2 他人に貸している建物の評価方法
相続した不動産に建物があるけれど、他人に賃貸しているアパートやマンションということもあるでしょう。他人に貸している貸家の評価方法は、自家用家屋評価額から借家権の評価額を差し引きします。
貸家の評価額=自家用家屋評価額-借家権の評価額
①借家権の評価方法
自家用家屋評価額に国税局長が定める借地権割合(30%)をかけ、部屋がどれくらい埋まっているかも考慮するため、賃貸割合もかけます。
借家権の評価額=自家用家屋評価額×30%×賃貸割合
②貸家の評価方法
自家用家屋評価額から①で計算した借家権の評価額を差し引くと、貸家の相続税評価額は次のようになります。
貸家の評価額=自家用家屋評価額-自家用家屋評価額×30%×賃貸割合
=自家用家屋評価額-(1-30%×賃貸割合)
不動産の評価方法その3 自分で使っている土地(宅地)の評価方法
宅地の基本的な評価方法
不動産のうち、土地(宅地)の評価方法には、路線価方式と倍率方式の2種類があります。路線価が設定されている地域では路線価方式、それ以外の地域では倍率方式で評価するのが原則です。
(1)路線価方式
宅地の面する路線(道路)ごとに定められた路線価(1平方メートルあたりの価格)を基準に不動産の相続税評価額を算出する方法です。路線価は、国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」で調べられます。
路線価に面積をかけた上で、その宅地の奥行距離に応じた「奥行価格補正率」、接している道路の状況による「側方路線価影響加算率」「二方路線影響加算率」などの画地調整率を使って、補正を加えます。
(2)倍率方式
評価倍率は地域によって異なり、路線価図・評価倍率表で確認できます。固定資産税評価額は不動産の個別的事情を織り込み済みの価格なので、補正を加える必要はありません。
小規模宅地等の特例によって評価額を下げられることもある
相続した宅地が、被相続人の自宅や事業用店舗の敷地の場合には、小規模宅地等の特例により相続税評価額を下げることが可能です。
小規模宅地等の特例には要件があり、宅地を相続人のうち誰が取得したか、申告期限まで保有を続けたかなどの事情により、適用の有無が変わります。
自宅の敷地について、特例の適用を受ける場合の減額割合は、330平方メートルまでの部分につき80%です。
不動産の評価方法その4 他人が使っている土地(宅地)の評価額
・貸宅地の相続税評価額
相続した宅地を他人に貸しているケースもあるでしょう。他人に貸している宅地(貸宅地)の評価方法は、自分で宅地を使う場合の評価額(自用地評価額)から、借地権の評価額を差し引きして計算します。
貸宅地の評価額=自用地評価額-借地権の評価額
①借地権の評価方法
借地権の評価額は、次のとおりです。
借地権の評価額=自用地評価額×借地権割合
借地権割合は地域によって異なり、「路線価図・評価倍率表」で確認できます。
②貸宅地の評価方法
自用地評価額から①で計算した借地権の評価額を差し引きすると、次のようになります。
貸宅地の評価額=自用地評価額-(自用地評価額×借地権割合)
=自用地評価額×(1-借地権割合
貸家建付地の相続税評価額
相続した土地に、他人に貸している建物が建っているケースもあるでしょう。他人に賃貸している建物の敷地を貸家建付地と言います。
貸家建付地に対しては借家人も権利を持っているので、自用地評価額から借家人の権利を差し引きしなければなりません。
①借家人の権利の評価方法
借家人の権利=借地権の評価額×借家権割合×賃貸割合
となります。上にも書いたとおり、借地権の評価額は、「自用地評価額×借地権割合」ですから、
借家人の権利=(自用地評価額×借地権割合)×借家権割合×賃貸割合
となります。
②貸家建付地の評価方法
自用地評価額から①で計算した借家人の権利を差し引くと、次のようになります。
貸家建付地の評価額
=自用地評価額-自用地評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合
=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)