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不動産の相続対策で有効な遺言書の種類と特徴

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不動産相続の問題点とは

相続財産に不動産が含まれていると、なぜトラブルが生じやすいのでしょうか。

不動産は相続財産の中でも多くの価格割合を占めるため、不動産を単独で1人の相続人が相続しようとすると、他の相続人との相続分に大きな差が生じてしまい、遺産分割協議がまとまらなくなってしまうのです。

かと言って、不動産を売却して現金化しようとしても、相続人の中に反対する人がいればできません。

最終的に話がまとまらず、法定相続分によって持分を共有するという方法を取ることもありますが、相続不動産を共有することは、将来的なことを考えると問題を先送りしているだけなので、根本的な解決にはなっていません。

このように、不動産を相続する際にはその特徴からさまざまな部分に影響が出てくるため、トラブルが生じやすいのです。

 

不動産の相続対策には遺言書が有効

不動産の相続によるトラブルを回避するためには、生前に遺言書を作成することがとても有効です。

■不動産相続に効果がある遺言書とは何か

法律上の遺言書とは、民法の規定に沿って作成された法的な文書のことで、相続において一定の拘束力があります。

遺言書には主に次の3種類の様式があります。

公正証書遺言

公証役場にて作成する遺言書のことを公正証書遺言といいます。事前に遺言書の文案について公証役場の公証人(元裁判官や弁護士など)と打ち合わせをした上で、当日2名の証人立会いのもと作成して保管します。

原本を公証役場で保管してくれるため、紛失、隠蔽、改ざんなどのリスクを回避することが可能です。相続が発生した際には、遺言書の有無について、相続人から公証役場に問い合わせをすることで、検索してもらうことができます。

また、検認手続きも不要なので、相続発生後は速やかに遺言書を執行することが可能です。

自筆証書遺言

自分自身が直筆で作成する遺言書で、最も気軽にかつ簡単に作成できる遺言書です。最近では、書店などでも遺言書作成キットのようなものが販売されていますが、直筆で書けば、広告の裏に書いたとしても要件を満たしていれば有効な遺言書として扱われます。

自筆証書遺言を作成する際には、次の点について注意が必要です。

すべて直筆で記載する

自筆証書遺言は原則として、すべての文面を直筆で記載しなければならず、代筆も認められません。相続発生時にもめた場合は、筆跡鑑定をすることもあるくらい厳格に判断されます。

時々、パソコンで打ち出したものに署名捺印する人がいますが、それでは無効になってしまうため、注意が必要です。

【ワンポイント豆知識:2019年1月13日法改正】
自筆証書遺言については、法改正が行われ、遺言書のうち別紙として添付する財産目録に限り自署が不要になりました。

財産目録とは、不動産など財産の内容について記載したもので、従来はすべて自署が必要でしたが、不動産を多数所有している場合については、不動産の地番などを自署することが非常に大変であり、ミスが発生して不動産相続がスムーズに進まないというトラブルが多数発生していました。

法改正によって財産目録については、パソコンで作成したものや、不動産登記簿謄本の写し、通帳の写しなどを添付することでも有効となりました。

詳しくは、事前に弁護士に確認しましょう。

日付を書く

遺言書の様式がすべて整っていても、作成日である日付が抜けていると無効になってしまいます。遺言書は、後からいつでも変更することができるため、いつ作成されたものか明確でなければ、有効として扱ってもらえないのです。

例えば、○月吉日といった表現についても、日付が特定できないため無効となりますのでご注意ください。

署名捺印をする

遺言書には必ず作成者の署名捺印が必要です。代筆はできませんので注意しましょう。

秘密証書遺言

自分自身で遺言書を作成した上で、公証役場に持ち込んで遺言書の存在を認めてもらうのが秘密証書遺言です。内容を秘密にしたままなので、相続発生時に開封して不備があると無効になる可能性があります。

どうしても遺言書の内容を秘密にしたい事情がなければ、公正証書遺言のほうがよいでしょう。

 

まとめ

不動産相続のトラブルを回避するためには、有効な遺言書を作成することがとても重要です。遺言書には3種類あり、それぞれに特徴があるため、どれを作成するのかについては、弁護士や税理士に相談することをおすすめします。