行政書士には遺言の原案を作ってもらえる
行政書士に頼めば公正証書遺言作成の手間が省ける
公正証書遺言は、公証役場に行けばその場ですぐに作ってもらえるものではありません。公証人と遺言の内容について打ち合わせをし、遺言の原案を完成させたうえで、作成日に改めて公証役場に出頭する必要があります。公証役場は平日昼間しか開いていませんから、サラリーマンの方は仕事を休んで何度も公証役場に出向かなければならないこともあります。
行政書士に公正証書遺言を依頼した場合には、行政書士が公証人と打ち合わせをします。遺言の原案は行政書士がほぼ完成させていますから、公証人との打ち合わせもスピーディーに終わります。日程の調整などもすべて行政書士が代行しますから、依頼者は作成日当日に公証役場へ行けばよいだけになります。
必要書類の取り寄せも依頼できる
公正証書遺言を作成する際には、戸籍謄本等が必要になります。また、不動産に関する遺言を作る場合には、固定資産評価証明書や登記事項証明書も用意する必要があります。
行政書士に公正証書遺言を依頼した場合には、これらの必要書類の取り寄せも代行してもらえます。行政書士は役所の手続きに慣れた専門家ですから、必要書類もスピーディーに揃えることができます。
内容を吟味した遺言が完成する
行政書士は、依頼者の希望する遺言の内容だけでなく、遺言作成の背景なども詳しくヒアリングして、遺言の原案を作成します。行政書士に依頼すれば、遺言が相続人の遺留分を侵害していないか、遺言を作ることが本当に相続対策として有効かなどについてもアドバイスしてもらえます。
自分で公証役場に直接依頼した場合でも、もちろん公証人は法的に有効な遺言を作成してくれます。ただし、公証人は依頼者が希望する内容を遺言として有効な形に整えてくれるものの、個々の依頼者にじっくり時間をとって細かい事情を聞いてくれるわけではありません。
相続対策をするときには、生前贈与の有無が関係してくることもありますし、相続税や二次相続なども意識しておかなければなりません。遺言を作成するときにも、行政書士をはじめとした専門家を通して内容を吟味しておかなければ、相続対策として不十分になってしまうことがあります。
行政書士には遺言の証人になってもらえる
公正証書遺言を作成するには証人が2名必要
公正証書遺言の作成当日には、証人2人の立ち会いが必要になります。証人は基本的に遺言者が自分で用意する必要があります。なお、民法上、次の(1)から(3)に該当する人は証人になることができません。
(1) 未成年者
(2) 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
(3) 公証人の配偶者、四親等以内の親族、書記及び使用人
守秘義務のある国家資格者に証人になってもらえるので安心
遺言を作成するときに、遺言の内容を家族に知られたくないこともあると思います。家族は推定相続人としてそもそも証人になれないケースが多いですが、家族以外の親戚、友人、知人などに証人を頼んでも、どこかで家族にバレてしまうのではないかという心配がつきまといます。
行政書士に公正証書遺言を依頼した場合、通常は他の行政書士等と連携して、証人2名とも行政書士の方で用意してもらえます。行政書士は国家資格者であるため身元もはっきりしていますから、安心して証人を任せられます。行政書士には守秘義務もありますから、遺言の内容が漏れる心配もありません。
行政書士には遺言執行者を依頼できる
遺言執行者の必要性
公正証書遺言を作成するときには、遺言執行者を指定しておくと安心です。遺言執行者がいない場合、遺言は相続人全員が協力して執行しなければなりません。もし相続人の誰かが遺言の内容に不満を持てば、遺言執行がスムーズにできない可能性があります。
遺言執行者がいれば、遺言執行者が相続財産の管理処分権を持ちます。たとえば、亡くなった人の預金の解約には、通常、相続人全員の印鑑や印鑑証明が必要になりますが、遺言執行者がいれば、遺言執行者の印鑑や印鑑証明書だけで手続きができるケースが多くなっています。
遺言執行者は法律や手続きに詳しい専門家が適任
遺言執行者は、未成年者、破産者以外であれば誰でもなることができますが、相続人などの利害関係人を遺言執行者に指定すると、他の相続人が不信感を持ち、やはり手続きがスムーズに進まないことが考えられます。行政書士に遺言作成手続きを依頼すると、遺言執行者も任せられるというメリットがあります。