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遺言書に書式はあるの?書き方のポイントを解説!

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遺言書に書式はあるのか

まず、遺言書の種類としては、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言があります。このうち、公正証書遺言は公証人が作成するため、書式を気にする必要はありません。

一方、自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合、作成・保管をすべて自分で行う必要があります。しかも、遺言書には定型の書式が用意されているわけでもありません。用紙サイズも自由なので、好きな書式で作成できます。

インターネット上には、数多くの遺言書の書式が掲載されています。とはいえ、参考書式はあくまで遺言書の例なので、事情に応じて書き方を工夫する必要が出てきます。では、どのようなことを書けば良いのでしょうか。

 

遺言書の書き方・記載事項

1.表題は「遺言書」とする

まず、誰が見ても遺言書であることが分かるように、最初に「遺言書」という表題を記載しましょう。一般に公開されている遺言書の書式にも、表題が付されていることがほとんどなので、ぜひ参考にしてください。

2.日付・署名・押印を忘れない

遺言書は「いつ・誰が作成したものか」という点が非常に重要です。これらの記載事項が抜けていると、遺言書が無効になってしまうので、注意してください。

例えば「平成29年4月吉日」といった日付が特定できない表現は無効となってしまいます。また、押印は認め印でも構いませんが、実印の方が望ましいです。

3.遺産内容を正しく特定して書く

相続させる遺産の内容は、厳格に特定すべきです。例えば、不動産の場合、不動産登記の表題部をすべて遺言書に記載しましょう。単に「世田谷区の土地」「軽井沢の別荘」と書いただけでは、特定されたことにはなりません。

また、預金を相続させる場合にも金融機関名・支店名・口座の種類・口座番号・口座名義人をすべて遺言書に書く必要があります。

遺産の内容により、特定に必要な事項は変わってきます。詳しくは、書式を調べてみてください。遺産内容の特定は一見面倒ですが、厳密に特定することで、相続人間の紛争を防ぐことができます。

4.遺言執行者を指定する

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続を行う人のことで、遺言書で定めることができます。遺言執行者の指定は必須ではなく、指定が無い場合は、相続人全員で相続の手続を行います。

とはいえ、中には遺言書の内容に反対して手続に協力してくれない相続人もいます。そのような場合であっても、遺言執行者が指定されていればスムーズに手続が行えるので安心です。

5.封をする

書き終えた遺言書は、封筒に入れて封印することがおすすめです。この作業をしなくても、無効になることはありませんが、改ざんを防ぐためには封をした方が良いでしょう。

 

遺言書を書く際の注意点

1.自筆証書遺言はすべて「自筆」で作成すること

前述のとおり、自筆証書遺言の書式は自由ですが、遺産目録を含む全文を「自書」する必要があります。自筆であれば、遺言書をめぐるトラブルに発展した際にも、筆跡鑑定等で本人が作成したことが明らかになるからです。

一部でもパソコンを使ったり、代筆を頼んだりすると、遺言書の全体が無効と判断されてしまいます。文字を書けない方や、参考書式を調べて自筆で書くのが面倒な方は、公正証書遺言や秘密証書遺言を検討しましょう。

2.ボールペンや万年筆などで作成する

鉛筆で記載すると、遺言書が後から改ざんされるおそれがあります。したがって、容易に消しゴムで消せないボールペンで記載する必要があります。また、その際の加筆・訂正の方法は、以下のとおりです。

・訂正部分に二重線を引く
・その横に正しい文字を書き、押印する
・遺言書の末尾や空きスペースに、訂正した旨を付記して署名する
(例:「三行目二字加入二字削除 山田太郎」)

このように厳格な方法が要求されているのは、遺言書の改ざんを防ぐという趣旨です。加筆・訂正の方法が間違っている場合、訂正部分については無効と判断される可能性もあります。

訂正方法が不安な方は、参考書式を検索したり、弁護士などの専門家に相談したりしてみましょう。

 

まとめ

上記の注意点やインターネット上の書式を見て、自筆証書遺言が難しいと感じた方は、この機会に公正証書遺言を検討するのも一つの方法です。公正証書遺言であれば、書式を調べて遺言書を書く手間が省けるからです。

もっとも、自筆証書遺言は手軽で費用もかからない人気の方法です。インターネット上には自筆証書遺言の参考書式も数多く用意されていますので、自力で調べるのが得意な人には、適していると言えますね。