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遺言公正証書を作成する流れとメリットとは

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遺言公正証書作成の流れ

1.遺言する内容を決める

遺言公正証書の文面は公証人が作成してくれるので、文中の一字一句までを考える必要はありませんが、誰にどの遺産を残すのかなどの肝心な部分は遺言者が決定しておかなければなりません。

2.証人を2名用意する

遺言公正証書作成には、2人以上の証人が必要です。以下に該当しない証人を選んでおきましょう。

・未成年者
・推定相続人、受遺者、またはこれらの配偶者や血族などの利害関係人
・公証人の配偶者、4親等内の親族、公証役場の書記や使用人

証人には遺言の内容をすべて知られるため、絶対の信頼を置ける人を選びましょう。適格な人物が思い当たらない場合は、弁護士や司法書士にお願いすることもできます。

3.公証人との打ち合わせ

遺言公正証書の内容と証人が決定したら、具体的な打ち合わせの段階に入ります。日本公証人連合会へ問い合わせるか、最寄りの公証役場を訪ねてみましょう。

遺言公正証書は、必ずしも最寄りの公証役場でなければ作成できない訳ではありません。ただし、文案の完成までには公証人との綿密な打ち合わせが必要であることや、遺言公正証書作成の当日には証人とともに公証役場へ出向かなければならないことも考えると、通いやすい場所を選ぶ方が良いでしょう。

なお、打ち合わせの段階では以下の必要書類も準備しておきます。

・遺言者の実印、および印鑑証明書
・遺言者と相続人の続柄が分かる戸籍謄本
・相続人以外の人への遺贈をする場合は、その人の住民票
・遺産に不動産が含まれる場合は、不動産の登記事項証明書と固定資産評価証明書

これ以外に、公証人から指定されたものがあれば用意しましょう。

4.文案のチェック、すり合わせ

通常は、数回の打ち合わせ後に遺言公正証書の文案ができ上がります。内容が自分の意向に沿っているかどうか、チェックしましょう。

5.公証役場で遺言公正証書を作成

遺言公正証書を作成する当日は、証人を連れて公証役場に出向きます。遺言公正証書作成の手順は、以下のようなものです。

・遺言者が、遺言内容を口述
・公証人が内容を筆記する(実務上は、事前に作成済のものが使用される)
・公証人が、筆記した遺言内容を読み上げる
・遺言者および証人が署名押印する(遺言者は実印、証人は認印)
・公証人が署名押印する

完成した遺言公正証書の原本は、公証役場に保管されます。遺言者には正本が交付されますが、遺言執行者や弁護士に渡しておきたい場合は謄本も交付してもらうことが可能です。

 

遺言公正証書のメリット

1.相続開始後に無効になることのない確実性

自筆証書遺言の場合、ちょっとした書き損じや記載漏れなどによって、遺言書としての効力が失われることもあります。

遺言公正証書の場合、遺言者は原案を考えるだけで良く、文章はプロである公証人が作成するため、無効になることがほぼありません。

2.紛失、偽造、破棄の恐れがない

遺言公正証書は、原本が公証役場に保管されます。紛失したり、利害関係人によって偽造されたり、破棄されたりする恐れはありません。

3.検認手続きが不要

遺言公正証書は、公文書扱いとなります。そのため、家庭裁判所での検認手続きは不要です。

4.自分で文章を筆記する必要がない

遺言公正証書は、文章を公証人が筆記してくれます。自分で文章を書く必要がないので、視覚障害者や手が不自由などのハンデがある人でも、自分の意思を反映した遺言公正証書を作成可能です。

 

遺言公正証書作成に必要な費用とは

遺言公正証書を作成するためには、各種手数料がかかります。費用の一覧は、以下の通りです。

手数料の種類 項目 手数料の金額

手数料の種類 項目 手数料の金額
証書作成手数料 (遺産額)100万円以下

100万円~200万円以下

200万円~500万円以下

500万円~1,000万円以下

1,000万円~3,000万円以下

3,000万円~5,000万円以下

5,000万円~1億円以下

1億円~3億円以下の部分

3億円~10億円以下の部分

10億円以上の部分

5,000円

7,000円

11,000円

17,000円

23,000円

29,000円

43,000円

5,000万円ごと13,000円加算

5,000万円ごと11,000円加算

5,000万円ごと8,000円加算

遺言加算手数料 遺産総額1億円以下の場合 11,000円加算
遺言取り消しにかかる

証書手数料

11,000円
役場外執務 病床執務手数料

日当

旅費

通常の作成手数料の半額

1日20,000円

実費

証書手数料加算 証書が4枚以上の場合 超過1枚ごと250円
正本・謄本の交付手数料 1枚につき250円

場合によっては不要な費用もありますが、どんなケースでも必ずかかる費用は「作成手数料」です。

一例として、配偶者と子ども3人という構成で、推定相続人が4名いるとしましょう。子ども3名にそれぞれ2,000万円ずつを、配偶者には3,000万円を相続させることにした場合の遺言公正証書作成費用は、以下のようになります。

23,000円+23,000円+23,000円+29,000円+11,000円=109,000円

 

まとめ

他のどの遺言よりも安全で確実な遺言公正証書は、費用をかけるだけの価値があるものです。相続開始後の相続人の負担を和らげることもできるため、相続を控えている方は是非とも遺言公正証書を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。