弁護士費用をかけずに、自分で遺産分割する際の流れとは
まず、自分で遺産分割する場合はどうするのかをご紹介します。
遺産分割には3通りの方法があります。
「指定分割」「協議分割」「調停分割または審判分割」です。
指定分割
遺言で指定された通りに遺産分割を行うものです。遺言の内容が法定相続分とは異なるとしても、遺言を優先して従います。
協議分割
遺言がない場合に相続人全員で協議して遺産分割を決定することです。法定相続分をおもな目安としつつ、特別受益や寄与分のある相続人がいるかどうかも考慮しながら行います。
調停分割または審判分割
遺産分割協議が成立しない場合の最終手段です。調停を起こすには、家庭裁判所に調停事件として申立てを行います。もし調停でも遺産分割が解決しない場合は、審判へ移行することになります。審判では、審判という決定によって遺産分割が行われます。
遺産分割について、弁護士費用をかけて弁護士に依頼するメリットとは
遺産分割には面倒な手続きだけでなく、相続人全員との折り合いをつけるという必要もあります。それまでは仲の良かった家族や親族でも、遺産分割を機に関係が悪くなってしまうこともあります。
そのような事態を回避するため、弁護士費用をかけて弁護士に遺産分割を依頼するという選択肢も考慮できるでしょう。弁護士費用と聞くと二の足を踏んでしまうかもしれませんが、弁護士費用をかけるメリットは実に多いものです。
弁護士費用をかけて弁護士に依頼するおもなメリットを、3つご紹介します。
1.遺産分割に関する専門知識を有するため、遺産分割を有利に進められる
遺産分割をスムーズかつ有利に進めるには、関連する様々な法律を熟知していることが必要です。弁護士費用を用意して弁護士に依頼するなら、遺産分割がスピーディに進むだけでなく自分に有利な条件で進めることも期待できます。
2.遺産分割協議の煩わしさ・ストレスから解放される
普通、遺産は相続人の誰もが欲しいと思うものです。そのため、争いが起きて収集が付かなくなる場合もあります。さらに遺産分割には、たくさんの書類を作成したり手続きをしたりという煩わしさもあります。
弁護士費用をかけて弁護士に依頼するなら、家族や親族の良い関係も維持しつつ煩わしい手続きからも解放されることができます。
3.遺産分割協議後のトラブルを未然に防ぐことができる
遺産分割協議が内輪で成立しても、書類の作成に不備があると後になって争いが再発することがあります。弁護士費用をかけて弁護士に依頼すれば、素人が犯しやすいミスも防ぐことができます。
弁護士費用をかけて、弁護士に依頼した場合の費用とその内訳
では、弁護士に依頼した場合にかかる弁護士費用とその内訳をご紹介します。弁護士費用は、各法律事務所が独自に定める基準で設定されています。実際の弁護士費用は、直接問い合わせて下さい。
1.相談料
まずは相談料です。多くの場合30分または1時間単位で設定されています。初回の相談は無料という事務所もありますが、5,000円から10,000円前後の相談料が必要な場合もあります。
2.着手金
最初に支払う弁護士費用が、着手金となるでしょう。名前の通り、事件に着手してもらうための弁護士費用です。
着手金は多くの場合、見込まれている利益の額に応じて割合が設定されており、見込み利益が小さいほど着手金割合は低くなります。着手金は、結果に関わらず支払う弁護士費用となります。
3.成功報酬
事件が解決した場合に、その成果に応じて支払う弁護士費用です。もし利益がゼロだった場合には、一切支払わなくて良い弁護士費用でもあります。
4.日当・交通費
弁護士が裁判所や相談者の自宅などへ出向く際の日当と交通費も、弁護士費用の一部です。それぞれの弁護士費用をいくらに定めているかは、事務所によって異なります。
5.実費費用
手続きに必要な手数料や切手代、戸籍謄本の取得費用なども弁護士費用の一部です。
まとめ
遺産分割のために弁護士費用を払うのはもったいないと思うのも、無理はないかもしれません。しかし、遺産分割を自分で行う場合の大変さは相当なものです。弁護士費用を払ってでも弁護士に依頼するなら、相続人との関係を平穏に保ちつつ自分の心身にも負担をかけずに済むでしょう。