遺産相続における遺産分割協議書とは
遺産分割協議書は、遺言書に従った遺産相続にしろ、法定相続分に従った遺産相続にしろ、必ず作成すべき書類です。
遺産相続に関する協議内容を遺産分割協議書として残すことで、「言った・言っていない」の争いや「思い違いをしていた」などと主張する相続人が出てきた場合でも対応できます。
遺産相続における遺産分割協議書は、遺産相続によって得た不動産の相続登記や、遺産相続で銀行預金を相続する際にも必要になります。
遺産相続において、誰が何をどれだけ相続したのかを明記する事が重要
遺産相続における遺産分割協議書は、各相続人が何をどれだけ相続したかを明記するものです。相続人のうちの誰かが遺産相続の際に財産を隠匿したり、遺産相続の相続人として協議に参加していない相続人がいたりすると、その遺産分割協議書は無効になってしまいます。
遺産分割協議書の書式は、決まった形式があるわけではありません。自筆の遺産分割協議書でも大丈夫ですし、パソコンで作成した遺産分割協議書でも構いません。
遺産相続における遺産分割協議書の書き方・構成
では、実際に遺産分割協議書の一例をご紹介します。遺産分割協議書はおおまかに分けると、5つのブロックで構成されています。
1.タイトル
一番上にタイトルを記入します。タイトルは、「遺産遺産分割協議書」とします。
2.被相続人の情報と、遺産分割が決定したことの宣言
被相続人の死亡日時、および最後の住所地と最後の本籍地を明記します。次に、遺産分割が決定したことの宣言文を記入します。例えば、次のように書くことができます。
「被相続人○○(平成〇年〇月〇日死亡)の遺産について、相続人である○○、○○は協議を行い、本日その相続財産について下記の通り遺産分割することに決定した」
3.取得した財産の内訳
次に、各相続人の遺産相続の内訳を明記します。不動産であれば用途や面積、構造や所在地など、登記簿通りに記入します。自動車であれば、メーカーや車種、ナンバーや車台番号までを記入します。預金であれば、銀行名と支店名、口座番号までを記入します。
例えば、次のように明記できます。
「相続人○○は、次の遺産を取得する。
1.東京都○○区○○丁目○○ 宅地 ○○平方メートル
2.同所 家屋番号○○ 木造瓦葺平屋建居宅 床面積 ○○平方メートル
3.2の居宅内の動産すべて」
「相続人○○は、次の遺産を取得する。
1.○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○の全額
2.被相続人名義の自家用車 登録番号○○ 車台番号○○○
3.被相続人の宝飾品および時計、絵画類すべて」
ここでの文言は必ず、「次の遺産を取得する」あるいは「次の遺産を取得した」というように、断定した言葉を使いましょう。
「~取得するものとする」などの言葉だと仮定に過ぎないとも受け取れるため、ふさわしい表現ではありません。
また、不動産や自動車、預金以外のものを遺産相続する時にも、遺産分割協議書へ品名や数量などを必ず明記します。銀行の預金を遺産相続する場合は、相続する額も記入します。その口座の預金すべてならば「全額」と、金額が指定されているなら、その金額を遺産分割協議書へ記入します。
4.分割後に発覚した財産ついて
遺産分割協議の成立後にさらに遺産が発見された場合は、誰が遺産相続するのかについて、遺産分割協議書へ明記します。
相続人の1人が遺産相続する場合は、次のように書くことができます。
「上記の遺産以外に被相続人の遺産が新たに発見された場合、その遺産については○○がすべてを相続する」
相続人全員で協議し直すことを希望する場合は、次のように書くことができます。
「上記の遺産以外に被相続人の遺産が新たに発見された場合、その遺産については再度分割協議を行うこととする」
5.遺産分割協議が成立した年月日と、相続人全員の署名押印
最後に、遺産分割協議が成立し遺産遺産分割協議書を作成した日の日時を明記し、相続人全員が直筆で住所と名前を記入し、実印を押印します。
住所を書く際は1-1-1などの表記ではなく、住民票にあるように「〇丁目〇番〇号」という表記で書きましょう。
以上が、遺産相続における遺産分割協議書のおおまかな作成方法です。
まとめ
遺産相続における遺産分割協議書は、後でトラブルが起こることを防ぐ以外にも、遺産相続で得た財産を利用する時に必要になる書類です。
遺産分割協議書に記載された内容に不備がないよう、言い回しや表記など細部まで注意して作成しましょう。