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遺産分割における相続の基礎知識

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遺産分割の対象になる財産と、ならない財産がある

遺産相続では、被相続人が持っていた財産がすべて相続人へ引き継がれます。しかし、遺産相続では、遺産分割の対象になる財産とそうでない財産があります。

遺産分割の対象になる財産を大きく分けると、「プラスの財産」と「マイナスの財産」の2種類になります。

プラスの財産には、現金や預貯金、不動産や動産、有価証券類や債券、著作権や特許権などの知的財産権も含まれています。マイナスの財産には、借金や未納の税金、連帯債務や保証債務などがあります。

遺産相続で遺産分割の対象にならない財産とは、「祭祀財産」です。祭祀財産とは、被相続人の墓地や墓石、仏壇や仏具などの特殊な財産を指しています。

これらの財産は平等に分割できるものではないので、遺言書の指示があればそれに従って、遺言書に指示がなければ、相続人の間の話し合いで祭祀継承者を決め、その人がすべてを引き継ぐこととなります。

もし祭祀継承者が決まらなければ、家庭裁判所で行われる調停や審判手続きで決められることになります。

また、そもそも相続財産とはみなされない財産も、遺産分割の対象から外れます。例えば、被相続人の葬儀の際の香典などです。香典は喪主への非課税贈与とみなされるので、遺産分割の対象財産ではありません。

遺族が受取人となっている死亡退職金や生命保険の保険金も同様です。これらは受取人である遺族の固有財産とみなされ、被相続人の財産としては扱われないため、遺産分割の対象財産ではありません。

ただし、死亡退職金や生命保険金については、非課税枠を超えた分の金額が相続税の課税対象となります。死亡退職金や生命保険金は、「相続税がかかる可能性はあるが、相続財産ではない」と覚えておきましょう。

 

遺産分割の対象となる財産の調査が必要

遺産分割は、相続対象となる財産が何で、どのくらいあるのかを正確に把握しなければ始まりません。

遺産相続では、遺言書を探し終えるとすぐに相続財産の調査が行われます。遺産分割対象のプラス・マイナスの財産を、徹底的に調べなければなりません。

ここでの調査に抜けがあると、遺産分割をしてしまってから債務が見つかったり、大きなプラス財産が見つかったりして、もう一度遺産分割をやり直さなくてはならなくなる場合があります。

非常に重要な段階ですから、時間を惜しまず、完璧に調査をしましょう。

 

遺産を相続するか、相続しないかは各自が決める

遺産相続で財産を相続するなら、プラスの財産もマイナスの財産も一緒に相続しなければなりません。そのため、遺産を相続するかしないかは、相続人が自分で決定できるようになっています。

例えば、相続財産の調査結果を見て、明らかにプラスの財産よりもマイナスの財産の方が多いなら、債務を引き継がないために「相続放棄」という決定をすることができます。相続放棄は、家庭裁判所への申立てが必要です。

相続放棄の申立ては、遺産相続が開始し自分が相続人であることを知ってから3カ月以内に手続きしなければなりません。

一方、相続財産に問題がなく、正常に遺産相続をする場合には、申立てなどの特別な手続きは必要ありません。

 

遺言書がなければ、遺産分割協議を開く

遺言書があり、遺産分割に関する具体的な指示が書いてあるなら、原則として遺言書の指示通りに遺産分割を行います。遺言書がない場合は、相続人の全員参加のもとで遺産分割協議を開き、遺産分割の方法を話し合って決めます。

遺産分割に関して、相続人全員の合意が得られれば、遺産分割協議書に決まった内容を詳細に記載します。遺産分割協議書は相続人全員の署名押印で完成し、相続人各自が保管します。

 

まとめ

遺産相続における遺産分割は、遺産の調査や相続の決定、遺産分割協議という段階を踏んで行われます。

どの遺産が遺産分割の対象になるかについては、勘違いが起きやすいポイントです。遺産分割対象かそうでないかを正しく把握して、正確な遺産分割を行いましょう。