行政書士に相談する
行政書士は、行政機関に提出する公的書類の作成や申請を代行する点での専門家です。遺産分割に関しては、おもに次の3つの点について相談したり、委任したりすることができます。
・続人範囲の調査
・財産目録の作成
・遺産分割協議書の作成
遺産分割に関して行政書士に相談できる内容は、上記のような書類の作成や調査などがメインです。
一般の人でも行おうと思えば行えることではありますが、かなりの時間と労力を取られるため、忙しい人であれば行政書士に相談して依頼する方が良いでしょう。
行政書士に相談すれば、ちょっとしたミスで書類を作成し直したり、書類の不備などで行政機関に何度も足を運んで面倒な思いをしたりすることもありません。
ただし、行政書士の場合は、遺産分割に際して気がかりになる相続税や贈与税についての相談、相続登記に関する相談、遺産分割でもめてしまった際の相談などはできません。
相続人が一人または少人数である場合や、相続税や贈与税がかからない遺産相続である場合、法的に有効な遺言書があるため遺産分割に関してもめる可能性が低い場合などであれば、遺産分割に関して行政書士に相談することでスムーズに手続きを進められるでしょう。
税理士に相談する
遺産分割の際には、被相続人が生前に贈与していた遺産の贈与税や、相続対象の遺産について相続税を計算することも必要です。
税金の計算は非常にややこしく、関連する法律や基準も頻繁に変わるため、知識のない人がミスなく計算することは難しいです。
自分で計算をして税の申告をしても、内容が間違っていると後で還付してもらう必要が生じたり、追加で納める手続きをしなければならなかったりします。
特に追加で税を納める場合は、本来の税額よりもプラスされてしまう場合が多く、結果として損をしてしまいます。
相続税や贈与税がかかりそうな遺産相続であれば、税理士に相談することをお勧めします。また、税理士に相談する際には、遺産問題に関する案件の実績が豊富な税理士を選ぶようにしましょう。
税金の種類はたくさんありますので、税理士と言っても全員が相続税や贈与税に関する知識を豊富に持っているわけではありません。
知識や経験の乏しい税理士に相談してしまうと、控除制度などを適用し忘れられてしまい、本来納めなくてもよい税金を納めてしまうことにもなりかねませんので注意しましょう。
司法書士に相談する
司法書士の相続における専門分野は、主に「登記」です。遺産分割対象の遺産の中に不動産がある場合は、遺産分割後に相続登記(名義変更)をする必要があります。
相続登記も、仕事や家事のかたわらで行うのは大変な作業です。遺産に不動産が含まれるなら、司法書士に相談するとスムーズに遺産分割が進むでしょう。
不動産の他にも、株式や自動車など名義変更が必要な遺産が多く含まれているなら、司法書士に相談することで煩わしい手続きから解放されます。
司法書士には、相続人の調査、目録の作成、遺産分割協議書の作成など、行政書士に相談できることとしてご紹介した内容も相談可能です。
弁護士に相談する
遺産分割に加わる相続人の人数が多くて遺産分割協議が大変そう、相続人同士の関係が疎遠でコミュニケーションがとれるか不安、遺産が少ないまたは多いため遺産分割で揉めそうといった場合など、遺産分割がスムーズに運びそうにない時には、早い段階から弁護士に相談するのがお勧めです。
弁護士だけが、制限なく争いの解決をすることができるためです。ここまでご紹介してきた他の専門家は、司法書士の一部の業務を除き、争い事の解決をする権限を持っていません。
逆に、他の専門家にできて弁護士にできない業務はほとんどありません。遺産分割で揉めてしまうと裁判になる場合もありますが、裁判を有利に進めるためにも弁護士の協力が必要です。
他の専門家と比較すると弁護士への依頼費用は高めになりますが、遺産分割に関する揉め事が大きく膨れて収拾不能になってしまう事態を招く可能性がある場合は、最初から弁護士に相談してしまった方が良いでしょう。
まとめ
遺産分割をしようとしている状況によって、最適な相談先は違ってきます。
遺産分割を始める前から専門家に相談すれば、余分な手間や気苦労を避けて遺産分割を終了させることができます。相談は、早め早めを心がけましょう。