相続人となりうる者 ―配偶者および血族
相続人となりうるのは被相続人の配偶者および血族です。配偶者は常に相続人となります。つまり、血族相続人がいればその者と共に、いなければ単独で相続人となるのです(民法890条)。
なお、内縁配偶者は相続人とならず、特別縁故者として財産分与を求めることができるにすぎません(958条の3)。
血族相続人には順位がある
血族相続人については順位が定められています。
つまり、先順位の血族相続人が既に死亡していたり、相続欠格(891条)、廃除(892条・893条)、相続放棄(939条)により相続がなされない場合に初めて後順位の相続人が相続権を持つこととなります。
第1順位―子
血族のうち、第1順位の相続人は被相続人の子(887条1項)です。
実子・養子、嫡出子・非嫡出子を問わず、子であれば全員が第1順位の相続権を持っています。この場合の子は、胎児であってもよいとされています(886条1項)。
ただし、特別養子縁組をした場合の実親子は親族関係が終了している為(817条の9)子は相続権を持ちません。また、結婚相手に連れ子がいた場合などの継親子関係については、養子縁組等をしない限り一親等の姻族関係に過ぎないため、継子は相続権を持ちません。
第2順位―直系尊属
被相続人に子がいなかったり、前述した理由により子に相続がなされない場合、889条1項1号により、被相続人の直系尊属が相続人となります。
ただし、被相続人に孫やひ孫があった場合には代襲相続(887条2項・3項)が発生する場合があり、これは第2順位の相続人に優先します。
被相続人の直系尊属の中では、親等の近い直系尊属が優先します(889条1項1号但書)。普通養子については、実方および養方の直系尊属がともに相続権をもちます。
第3順位―兄弟姉妹
被相続人に、子のみならず直系尊属もない場合、889条1項2号により、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹が、死亡等前述の理由により相続権を持たない場合であっても、兄弟姉妹に子があった場合には代襲相続(887条2項)が発生する場合があります。
最後に
このように、相続順位については、条文は少ないものの、意外と複雑に決められています。また、孫や兄弟姉妹が養子になっている場合や婿養子など、相続資格が重複している場合については、社会慣行にしたがった運用がなされており、より複雑ですので、専門家に相談すると良いでしょう。