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相続人代表者はなぜ必要になるのか

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相続人代表者とは

相続人代表者とは相続人を代表して、相続に必要なさまざまな手続きを行ったり、役所等からの書類を受け取ったりする人のことをいいます。

例えば亡くなられた方が不動産を所有していた場合、遺産分割協議が終わっていようがいまいが、時期になれば役所から固定資産税の納付書が送られてくることになります。この際、被相続人に変わって受け取る人が必要になるのですが、それが相続人代表者ということです。

相続が発生して数日経過すると、市区町村役場などから相続人代表者指定届を出してほしいとの連絡や通知が来ることがあります。これは、本人が死亡したことで納税通知書等をどこに送ったらいいのか特定したいからです。

相続人代表者は相続人であれば特に要件はないので、相続人代表者指定届を提出すれば大丈夫です。

 

遺産分割が終わるまでの扱い

相続が発生して遺産分割が終わるまでの間については、原則として相続財産はすべての相続人が共有することになります。

よって、固定資産税などのランニングコストについても、本来であれば各相続人に分けて請求するところですが、そのようなことをするのは大変なので、相続人代表者を指定してその人に納付書を送付しているのです。

亡くなったことは役所に死亡届を出せばすぐに把握されるので、相続人が複数いる場合については相続人代表者を指定するよう役所から連絡がくることになります。

固定資産税以外にも市民税や県民税、軽自動車税などについても相続人代表者宛てに送付されることになります。

 

相続人代表者をやりたくない

遺産分割が確定していないうちに役所からの書類を受け取るのは抵抗がある、という人がおられますが、相続人代表者として受け取った書類は、あくまで相続人全員に対して送られたものであるため、相続人代表者だけに義務を押し付けられているわけではありません。

あくまで通知を受け取る窓口、それが相続人代表者なので全責任を負うことはないのです。相続人代表者指定届を出したとしても、被相続人の市税等に係る徴収金の賦課徴収(滞納処分を除く。)及び還付に関する書類を受領する代表者になるだけです。

仮に届出をしなかったとしても、各相続人は連帯して納税義務を負うことになります。

 

相続人代表者の指定方法

相続人代表者の届け出は、以下のいずれかの方法で行います。

・役所の窓口で手続きをする
・郵送で手続きをする
・電子申請する

電子申請については、自治体によって対応状況が違いますので事前に確認が必要です。郵送の場合は各自治体のホームページなどから相続人代表者指定届をダウンロードして使用します。

書式が役所によって異なりますので、必ず該当する役所の書式を使用しましょう。

相続人代表者指定届には、代表者になる人の署名捺印はもちろんのこと、相続人全員の署名捺印が必要になります。

 

固定資産税は誰が払うのか

相続人代表者だけに納税義務があるわけではないことはお分かりいただけたかと思いますが、では実際に誰が支払えばよいのでしょうか。固定資産税は遺産分割が終わっていなくても支払いは待ってくれませんので、誰かが支払わなければなりません。

正確には各相続人が法定相続分に基づいて負担するべきところですが、精算するのが大変なので実務上は相続人のうち誰か一人が負担して支払って、その分を相続分で調整するというケースが多いです。

ただし、予め相続人全員で話し合って取り決めをしていないと、支払損になってしまう可能性もありますので十分注意しましょう。

 

遺産分割が確定してもしばらくは届く

遺産分割が確定しているのに、いまだに固定資産税の納付書が届くというご相談をされることがありますが、これは固定資産税の課税されるタイミングにあります。

固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に対して課税される税金なので、年の途中で遺産分割が成立して相続登記をしたとしても、その年の固定資産税の納付書は相続人代表者宛てに届くことになるのです。

この場合、固定資産税をどのように精算するのかについても、予め遺産分割協議で決めておく必要があります。通常は不動産を相続する相続人が支払うことが多いですが、きちんと決めておかないとあとでトラブルになりますので注意しましょう。

 

まとめ

相続人代表者と聞くと重い責任が発生しそうな雰囲気がありますが、実際はただ役所の窓口になるだけなので、通常は被相続人と同居していた相続人がなることが多いです。

ただ、遺産分割協議が長引いてしまうと相続人代表者はその間ずっと窓口にならなければならないので、できるだけスムーズに協議を終わらせることを心がけましょう。