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相続税の納税で延納が使えるケースとは?

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相続税を延納するための条件

相続税を延納するための基本条件を確認してみましょう。

1.相続税額が10万円以上であること
2.金銭一括納付が困難であること
3.相続税の納期限までに延納申請書を提出していること
4.延納税額に相当する担保を用意できること

まず、相続税額が10万円に満たないような少額である場合は、延納できません。

さらに、金銭一括納付がどうしても不可能であることも条件です。この点は税務署も厳しくチェックしており、相続財産の一部を売却すれば払える、または相続人自身の財産から十分捻出できると見なされれば延納は使えません。

相続税の延納を利用したい場合は、相続税の納期限までに延納申請書を提出しましょう。税務署の方で自動的に延納手続きをしてくれることはありません。

相続税の延納には、以下のような担保が必要です。

・国債および地方債
・社債、その他の有価証券で税務署長が認めるもの
・土地、建物、立木、船舶など
・財団
・税務署長が確実と認める保証人

上記の担保を用意できるとしても、抵当権が設定できない、あるいは境界があいまいで権利争いの最中にある財産などでは、担保として容認されません。延納する相続税額より価値の低い担保も同様です。

ちなみに、延納を希望している相続税額が50万円以下で、なおかつ延納期間を3年以内にする場合に限り、担保無しでも延納を申し込むことができます。

 

相続税延納のポイント

1.延納期間は原則として5年間

相続税を延納できる期間は、最長で5年間とされています。

2.取得した財産の半分以上が不動産なら、最長20年まで延納できる

延納は5年間というのが原則ですが、相続財産の大部分は、不動産など価値が高いものであるために相続税額が高額になっていると、5年間では納めきれないことも考えられます。

そのようなケースでは、最長で20年まで延納期間を延長することが可能です。詳細な期間については、次の部分で解説します。

3.延納中は利子税もかかる

相続税の延納は、いわば国に借金をするのと同じことです。利子税という、一般的な利息に相当する税金も併せて払わなければなりません。利子税の税率は、相続財産のうち不動産などが占める割合によって、以下のように定められています。

区分 最長延納期間 年あたりの利子税率
不動産等の割合50%未満 立木以外の財産に対応する

税額

5年 6.0%
立木の価額に対応する税額 4.8%
不動産等の割合50%~75% 不動産等の価額に対応する

税額

15年 3.6%
不動産等以外の価額に対応

する税額

10年 5.4%
不動産等の割合75%以上 不動産等の価額に対応する

税額

20年 3.6%
不動産等以外の価額に対応

する税額

10年 5.4%

 

延納が利用できない場合は「物納」も検討してみる

担保が不十分などの理由で、相続税の延納が認められないケースもあります。延納が使えない場合、次に「物納」を考えてみましょう。

相続税の物納とは、財産そのものを税金の代わりとして納めることです。以下の条件を満たす必要があります。

1.延納によっても、金銭での相続税納付が困難であること
2.相続税の納期限までに、税務署に物納申請書を提出していること
3.物納できる財産があること

まず先に、相続税延納の申請をしている必要があります。相続税が支払えないと分かっても、いきなり物納を申し込むことはできません。延納申請をし、延納が不可能であれば次の手段として物納を検討できるのです。

物納も延納の場合と同様、相続税の納期限内に管轄の税務署へ物納申請書を提出する必要があります。

最大のネックは、物納できる財産です。どんな財産でも物納できるわけではなく、本来納めるべき相続税額に相当するだけの価値を持っている必要があります。

例えば、以下のような状態の財産は物納には利用できません。

・すでに抵当権が設定されている不動産
・境界についての争いがある不動産
・所有権が不明な不動産
・耐用年数を経過しており、通常の使用にも耐えないほど老朽化している不動産
・譲渡制限のある株式
・管理や処分に多大な費用がかかると思われる財産

 

まとめ

延納が認められるまでには、申請のための時間や必要書類の準備など、かなりの手間が必要です。その上、利子税もかかるため、金銭一括納付をする場合よりも納税額は増額になります。

相続税は一括納付するに越したことはありません。延納は、どうしても現金が用意できない場合の最後の手段として考えておきましょう。