相続税はいつ払う?
相続税をいつ払うのかというと、被相続人が死亡してから10ヶ月以内という規定があります。これは相続税申告期限と同じです。
例えば、2020年4月6日に死亡した場合、相続税をいつ払うかというと2021年2月6日が期限ということになります。
ただし、これについては少し誤解をしている人がいるので注意が必要です。
死亡を知らなかった場合
インターネットなどで検索すると、相続税の申告期限は10ヶ月以内とだけ書いてあるケースが多々ありますが、実は正確にいうと死亡してから10ヶ月以内ではなく「死亡を知った日の翌日から10ヶ月」が正しい規定です。
とはいえ、相続人であれば普通は死亡した日に知らせが来るから同じだろう、と思うかもしれません。ただ、現実には親族と不仲になっている方や、海外での暮らしが長い方などの場合は非相続人の死亡を当日中に知らされないケースも多々あります。
相続人がすぐにわからないケース
親が死亡して子供がいるケースであれば、相続関係は単純なので子供が相続人ということはすぐにわかるはずです。
ところが次のようなケースでは、弁護士などの専門家に相談してからでないと、法定相続人であることがすぐにわからないため、結果として死亡の知らせが遅れることがあります。
甥姪が相続人であるケース
子供のいない夫婦で夫が死亡した場合で、夫の両親も死亡している場合は相続順位が第三順位である夫の兄弟姉妹に移ります。この際、兄弟姉妹が死亡している場合は、その子供、つまり夫から見た甥や姪が相続人となるのです。これを代襲相続といいます。
子供が小さいうちは交流があるかもしれませんが、成人すると甥姪とはほとんど交流がないという方もいるため、死亡してもすぐに連絡しないことがあります。そうなると、相続税の申告期限のカウントダウンはスタートしないので、その人だけ相続税をいつ払うかが変わってくるのです。
隠し子がいるケース
生前には身内に打ち明けていない隠し子がいる場合は、死亡しても知らせがいくまでにかなり時間がかかります。親族が存在を知らない場合、相続人調査で被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等をまとめて取得した時に、隠し子の存在が発覚するのです。
この場合も相続税をいつ払うかが変わってきます。
相続税をいつ払うかについては、被相続人が亡くなったことをいつ知ったのかによって微妙にスタート地点が変わるので注意が必要です。
遅れたときの言い逃れには使えない
相続税をいつ払うかについては、被相続人の死亡を知った日によって変わるため、相続税申告が間に合わなさそうな時に、死亡を知らなかったと言い張って申告期限を延ばそうとする人がいるのですが、これは絶対にやめてください。
ウソをつくことはもちろんだめですが、仮に知った日が数日遅れたとしてもそれを税務署側に説明して納得させることは容易ではありません。税務署側も通常は、死亡日=知った日という前提で税務調査をしてきますので、「知らなかったからまだ大丈夫」と安易に構えていると痛い目を見ますので気をつけましょう。
よほど合理的に説明できる状況でなければ、死亡を知った日というのは死亡日という認識で相続税をいつ払うか考えた方が無難です。
贈与にも相続税が課税される
相続税をいつ払うかを考える際には、まず正しい税額を計算することが大切です。
相続というと相続財産に課税されるというイメージがあると思いますが、実は死亡前3年以内にした贈与については、贈与税をすでに納税していても相続税の課税対象となります。
ただ、二重課税にならないようにすでに支払っている贈与税分が相続税から控除される贈与税額控除で処理されます。
駆け込みで贈与をしても、3年以内の贈与については結局相続税が課税されてしまうので十分注意しましょう。
相続税は納税資金対策が重要
相続税というと節税対策の方が注目されがちですが、実はいつ払うのか考えたうえでの納税資金対策がとても重要になります。
相続財産から払うこともできますが、不動産など換価が必要になる財産が多い場合は、いつ払うのか念頭に置いて早めから動き出さなければなりません。
できれば、相続財産から払うのではなく、別の方法で準備できることがベストです。
生命保険金を活用する
被相続人を被保険者として生命保険に加入しておくことで、死亡時に支払われる保険金を相続税の納税資金として使うことができます。生命保険金には「500万円×法定相続人の人数」の非課税枠があるので、その範囲内で保険に加入しておけば税負担もありません。
ただし、保険料を被相続人以外の人が負担していると、相続税ではなく所得税や贈与税が課税されることになるので、事前によく確認してから加入することが大切です。
まとめ
相続税はいつ払うのかを念頭に、相続手続きを進めていくことがとても重要です。
また、相続財産から払う場合は、売却する時間も考慮する必要がありますので、できれば生命保険などを活用して納税資金対策をとっておくとよいでしょう。