波平の相続人は誰になるのか
相続について考える時は、誰もが知っているサザエさんに例えて考えるととてもわかりやすいです。例えば、波平が死亡した場合の相続人は誰になるのでしょうか。
また、想定される相続人で一番遠い親族は誰になるのでしょうか。
配偶者相続人:フネ
波平が死亡した際にフネが生存していれば必ず法定相続人になります。これを配偶者相続人といい、波平死亡時に離婚していないことが条件です。
また、フネ以外の相続人は、血族相続人といい次の順番で相続人となります。
第1順位:サザエ、カツオ、ワカメ
波平の子供であるサザエ、カツオ、ワカメが法定相続人となります。この場合の法定相続分は配偶者と子で1/2ずつにわけます。
フネが1/2で子は1/2を3人で分けることになるため、1人当たり1/6の法定相続分です。子3人のうち誰か一人でも生存していれば、第1順位以下の人が相続人になることはありません。
▼チェックポイント:タラちゃんは相続人になれるのか
タラちゃんについては、波平から見て孫なので法定相続人ではありませんが、仮に波平よりもサザエの方が先に死亡していた場合は、サザエの相続分である1/6をタラちゃんが引き継いで相続人となります。
これを代襲相続といい、タラちゃんも死亡していてタラちゃんに子がいればさらに再代襲されるのです。
また、タラちゃんが波平と養子縁組をすると、タラちゃんも法的には波平の子という扱いになるので、法定相続人になることも可能です。そうなると子の法定相続分は、1人増えるので1/8となります。
第2順位:直系尊属
子や孫等がいない場合は、第2順位直系尊属の両親、いない場合は祖父母が法定相続人となります。相続税の観点からすると、上の世代に逆戻りすることになるのでできれば避けたいところです。
相続分はフネ2/3、直系尊属1/3となります。
第3順位:兄弟姉妹、海平兄さん、なぎえさん
直系尊属も死亡している場合は、波平の兄弟である海平兄さんと妹なぎえさんが法定相続人となります。相続分はフネ3/4、兄弟姉妹は1/4を2人で分けるので1/8です。
実際の相続では、このパターンが非常に揉めやすい傾向にあります。
兄弟姉妹というのは、相続が発生する頃になると嫁いでいたりしてすでに別世帯を形成していることが多いので、遺産分割に加わってくると話がややこしくなるのです。
▼チェックポイント:ノリスケは相続人になるのか
さて、波平が死亡した場合において最も遠い親戚で相続人になる可能性がある人は誰でしょう。
兄弟姉妹が死亡していた場合、兄弟姉妹の子が代襲相続することになります。ただ、兄弟姉妹の代襲相続は第1順位の子の時とは違い再代襲はしません。
つまり被相続人から見て甥姪にあたる人が、最も遠い相続人ということになるのです。
波平の甥姪にあたるのが、なぎえさんの子であるノリスケさんなので、波平が死亡して相続が発生した場合、子や孫、直系尊属、なぎえさんが死亡しているとノリスケさんが波平の財産の一部を相続することになります。
ノリスケには再代襲が発生しないので、仮にノリスケも死亡していたとしてもイクラちゃんは相続人にはなれないのです。
マスオは相続人になれないのか
マスオは波平の息子ではないので法定相続人にはなれませんが、仮に波平と養子縁組をしていれば波平の子という扱いになるので、サザエと同列の第1順位の相続人となります。
実際のところ、マスオさんは磯野ではなくフグ田という苗字らしいので、養子ではないようです。
未成年者の相続には注意が必要
波平のように子供が複数人いる方については、相続が発生した際に遺産分割でもめる傾向があります。特にカツオとワカメについては現時点では未成年です。
未成年でも法定相続人になりますが、遺産分割をする際には家庭裁判所に申し立てをして特別代理人の選任をしてもらわなければなりません。
通常、未成年者の代理人は親権者である親でありカツオやワカメについてはフネが代理人になると思われるかもしれませんが、遺産分割においてはフネも相続人という立場になり利益が相反する関係になるので、別途特別代理人を立てなければならないのです。
特別代理人は弁護士である必要はないので、利害関係が及ばなければノリスケを立てるといったことも理論上は可能になります。
まとめ
今回はサザエさんに例えて法定相続人が誰になるのかについて詳しく解説してみました。
相続人は亡くなる順番によって変動するため、相続対策を検討する際には、何パターンかをシミュレーションしてから具体的な対策を講じていくことがとても重要です。
サザエさんの例を参考に、ご自身のご家庭のケースをシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。