不動産取得税とは
不動産取得税とは、売買や交換、建築などによって、土地や家屋などの不動産を所有するようになった場合に課される税金です。
不動産取得税は、登記をしているかいないか、有償で得たものか無償で得たものか、どのくらいの期間所有しているかなどに関係なく、不動産の所有者に課税される都道府県税です。
不動産取得税は、不動産の固定資産税評価額をもとにして計算されます。実際に取引をした金額は影響しません。
固定資産税評価額に不動産取得税の税率をかけると、不動産取得税を算出できます。不動産取得税の標準税率は4%となっていますが、軽減税率が適用される場合もあります。
不動産を取得した際には、取得日から規定の日数以内に「不動産取得申告書」を提出します。たいていは、取得日から60日以内が期限です。提出先は、不動産がある地域の市役所や町村役場、または管轄の県税事務所です。
不動産取得申告書を期限内に提出しなかった場合は、不動産取得税の軽減措置や課税免除などの優遇制度が受けられなくなることがありますので注意しましょう。
相続される不動産には、不動産取得税はかからない
不動産取得税はどんな場合にもかかるものではなく、その取得の原因によっては、課税されません。相続や遺贈などを原因とする不動産の取得には、不動産取得税は課税されず、また、相続で不動産を取得したことについての申告も必要ありません。
相続での不動産取得は、多くの場合、親から子どもへの不動産の移行です。子どもが親の財産を相続することは当然のことであり、そこへ取得税を課すことは、国民感情という観点で考えても不適当とされているものと思われます。
相続に関係した不動産取得で、不動産取得税が課税されるケース
前の項目で、相続で不動産を取得する場合には取得税がかからないと解説しましたが、相続に関係した一部の不動産取得については、不動産取得税が発生することがあります。それが「相続時精算課税制度」を利用して不動産を取得した場合です。
相続時精算課税とは、原則として60歳以上の父母や祖父母から、20歳以上の子や孫に対して財産を贈与した場合、2,500万円までは贈与税を非課税とする制度です。
相続時精算課税という名前の通り、相続開始後には贈与財産は相続財産に加算され、相続税が課税されることになります。
相続時精算課税のメリットは、被相続人の生前に大きな金額の資産を移行させられることですが、相続時精算課税を利用して生前に不動産を贈与した場合は、相続発生後に相続人が不動産取得税を支払うことになります。
不動産取得税に関しては、軽減措置も用意されています。軽減措置は、取得した不動産が新築か中古かによって要件が異なります。
新築住宅を取得した場合には、一区画(一戸)の床面積が50平方メートル以上、かつ240平方メートル以下であれば、不動産取得税の軽減措置が適用されます。「一区画」とは、マンションの部屋など、独立して区画された部分のことを言います。
床面積については、分譲マンションなどの区分所有家屋などの場合、共用部分も含めて計算します。同一敷地内に物置などがある場合は、その床面積も合算します。上記の要件を満たす新築住宅の場合、住宅の価格から一区画あたり1,200万円が控除されます。
なお、長期優良住宅の普及の促進に関する法律で規定されている「長期優良住宅」の認定を受けた住宅を、2009年6月4日から2020年3月31日までに新築した場合には、控除額が1,300万円へ増額されます。
取得した不動産が中古の場合は、住宅の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であることや、取得者自らその住宅に居住すること、築年月日の規定などが要件となります。
下の表のように、築年月日によって控除額は大きく変わります。
取得した中古住宅の新築年月日 控除額
昭和57年1月1日から昭和60年6月30日 420万円
昭和60年7月1日から平成元年3月31日 450万円
平成元年4月1日から平成9年3月31日 1,000万円
平成9年4月1日から 1,200万円
まとめ
相続で取得した不動産が自宅であれば、不動産取得税の税額軽減措置を適用できる可能性が高くなります。
建物だけでなく、相続で住宅用の土地を取得した場合についても不動産取得税の軽減措置が設けられています。詳細は、各地域の県税事務所などへ問い合わせるようにして下さい。