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相続した土地を分筆した方が良い4つのケース

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土地の分筆とは?

1つの土地を複数の土地に分けることを「分筆」と言います。「筆」とは、一筆、二筆というように土地の数を表す単位です。

土地を分けると言っても、ただ土地に線を引くような単純な手続きではありません。一筆の土地を、土地文筆登記によって別の土地とする手続きが分筆です。

例えば「5番地」という地番がついている土地を二筆に分筆したとすると、「5番地の1」「5番地の2」という具合に、それぞれ別の土地となります。

具体的に、土地をどこからどう分けるかという点については、相続人皆で話し合って決める必要があります。相続分に従って、自動的に取得できる面積が決まるわけではありません。

土地の分筆は、境界線の確認や測量、行政機関の調査や登記申請など様々な手順を踏んで行うものです。多くの場合、2か月から3か月、長い場合は半年ほどの時間を要します。

土地を分けるという点で分筆とよく似た言葉に「分割」がありますが、分割とは単に土地に線引きをして分けることを意味しています。登記内容は変更されないので、事実上は土地の共有となり、分割後も引き続き1つの土地とみなされるのが分筆との違いです。

 

土地以外の相続財産が乏しいケース

相続では、相続人に平等に分けられる財産が遺されていないと、争いが起きやすくなります。唯一の財産が土地1つしかないようなケースでは、相続人全員で1つの土地を仲良く分けなければならないという難題が生じるため、そのままだともめてしまう可能性もあります。

このようなケースでは、生前に被相続人が土地を分筆しておくことが効果的です。相続人の人数や相続分に応じて分筆しておけば、相続人はもめることなくスムーズに土地を相続できます。

 

土地の一部分だけ売却したいケース

ある相続人は「自分の相続分にあたる土地については、土地として相続して家を建てたい」と言います。しかし、他の相続人は「土地は売却して現金にしたい」と言い出すこともあります。

原則として、1つの土地の処分方法を部分ごとに分けることはできませんが、分筆しておけばそれも可能です。相続人は自分の希望に沿った仕方で土地を活用できるので、不満を持つことなく円満に相続を終えることができるでしょう。

さらに土地を分筆しておけば、相続税を支払えない相続人が「物納」のために土地を納められる場合もあります。このように、相続税の支払いが心配な場合も、分筆は役に立つことがあるのです。

 

土地の一部分だけ地目を変更したいケース

土地の登記では「宅地・雑種地」などのように、異なる地目を連ねることはできません。宅地として登記されている土地は、その全体が宅地です。

土地の一部について、登記上の地目とは違う用途に使用したい場合には、分筆して新たに地目を設定する必要があります。

例えば、宅地を相続した場合、大部分はそのまま宅地として使用したいものの、一部はコインパーキングとして貸したいと考える人もいます。

宅地のままでは一部をコインパーキングにすることはできませんが、貸したい土地の部分を分筆し、分筆した土地を「雑種地」という地目に変更すれば、コインパーキングを作ることは可能です。

 

相続する土地の相続税評価額が高額なケース

角地にある土地や、2本の道路に接している土地は便利ですが、好立地ゆえに相続税評価額を割り増しされてしまうのが難点です。このような場合は、割り増しされる条件を打ち消す仕方で分筆すれば、土地の相続税評価額を抑えることができます。

角地の場合はどのように境界線を引くとしても、分筆することで角地ではない土地が必ずできあがります。どこか1つは角地のままでいることになりますが、角地の面積はできるだけ小さくなるように工夫すれば、相続税評価額はかなり抑えられるでしょう。

2本の道路に面する土地を分筆する際は、どの土地も片側しか道路に接しないような仕方で境界線を引くのがポイントです。

ただし、節税目的の分筆には慎重になりましょう。分筆によって相続税評価額が下がるということは、実際に土地としての使い勝手が悪くなることも意味しています。

相続税評価額だけに目を留めていると、後になって家や店舗や収益物件を建てたいと思った時、分筆したことが予想以上に影響する場合もありますので注意しましょう。

 

まとめ

土地の分筆には、測量や登記などに関係した費用もかかります。決して安いとは言えない金額ですから、相続人にとっては重い負担になるはずです。被相続人となる人が生前に分筆しておけば、それは相続人にとってありがたい助けになるでしょう。