土地を相続しても使わないなら売るのがおすすめ
土地の所有者になれば土地の管理責任が生じる
土地を相続した場合、その土地を使っていなくても、所有者としての責任が生じます。たとえば、土地に雑草が生い茂ると、通行を妨げたり放火の原因になったりするため、雑草は除去しておかなければなりません。
塀や柵が古くなっていれば、倒壊して通行人がケガをするおそれもありますから、安全を確保しておく必要もあります。
相続した土地が遠方にある場合には、自分で土地を管理することが難しいこともあります。自分の代わりに土地を管理してもらう人がいないなら、土地を売ることを考えた方がよい場合もあるのです。
土地を持っていれば固定資産税等が課税される
土地の所有者には、固定資産税や都市計画税が課税されます。固定資産税や都市計画税は、土地を利用していなくても所有しているだけで課税されるもので、税負担も決して軽くはありません。
その点、土地を相続したけれど利用する予定がない場合、土地を売ることを選べば、余計な税金がかかることもありませんので安心できます。
土地の値段は今よりも下がることがある
相続した土地は、どのタイミングで売るかによって値段が変わります。たとえば、相続した土地の近くに新たに駅や道路ができる予定なら、今後土地の値段が上がる可能性がありますから、すぐに土地を売るのは得策ではありません。
一方、土地の値段が将来的に下がりそうであれば、今売るのが得と考えられます。将来を考えても、相続した土地を利用するつもりはない場合には、早めに土地を売ることを検討した方がよいでしょう。
土地を売る前提として相続登記が必要
相続した土地を売る前に名義変更を行う
相続した土地を売るときには、土地の名義を自分に変更しておく必要があります。亡くなった人名義のままの土地を売ることはできません。相続発生後、すぐに売る場合でも、売却の前提として土地の名義変更が必要です。
法務局で土地の名義を相続人に変更する手続きは、相続登記と呼ばれます。相続登記をするときには、相続関係がわかる戸籍謄本類一式のほか、遺産分割協議書など、相続のパターンに応じて定められた書類を提出する必要があります。
相続登記は相続発生後すぐにやっておく
土地の値段が上がってから売りたいという場合でも、先に相続登記はすませておきましょう。相続発生後時間が経ってから相続登記をしようとすると、登記に必要な書類が入手困難になってしまうことがあります。
相続登記には期限はありませんが、土地を亡くなった人名義のまま放置しておくことにメリットはありません。相続登記は、土地を売るかどうかに関係なく、相続発生後、速やかにすませておくのがおすすめです。
相続した土地を売る場合の流れ
相続した土地を売るときには、次のような流れになります。
1 遺産分割協議
相続人が何人かいる場合、一人が自動的に土地を取得できるわけではありません。土地を取得する人は、相続人全員で遺産分割協議を行って決める必要があります。
亡くなった人が遺言で土地を誰に相続させるかを指定している場合には、その人が土地を取得することになるため、遺産分割協議は不要です。
2 相続登記
法務局で相続登記を行います。相続登記をするときには、土地の固定資産評価額の0.4%の登録免許税がかかります。
3 不動産会社に売却を依頼
不動産会社に土地を売る手続きを依頼します。不動産会社を選ぶときには、何社かに査定してもらい、最も高い値段を付けてくれたところに頼むのが一般的です。
4 売買契約
不動産の買主が現れたら、売買契約を締結し、手付金を受領します。売買契約締結時には、相続登記が完了していなければなりませんから注意しておきましょう。
5 決済・引き渡し
売却代金の残金の決済と同時に、土地の引き渡しをします。
6 所有権移転登記
土地の買主への所有権移転登記を行います。
相続した土地を売るなら譲渡所得税についても考慮しておく必要がある
譲渡所得が発生していれば課税される
土地を売った場合、譲渡所得税が課税されることがあります。譲渡所得税は、土地を売ることによって得られた譲渡所得に課税される税金です。譲渡所得は、次の計算式で計算します。
譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
取得費は、被相続人が土地を購入したときの金額で、不明の場合には売却金額の5%とします。被相続人の居住していた家の敷地を売った場合などは、3,000万円の特別控除が受けられることがあります。
譲渡所得税がかかるなら確定申告が必要
相続した土地を売ることによって譲渡所得が発生していれば、確定申告を行って納税する必要があります。