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土地の相続で名義変更しないとどうなる?

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相続した土地を名義変更しない人が多いのはなぜ?

土地の名義変更とは、「相続登記」という不動産登記の一種のことです。不動産登記は、土地や建物といった不動産について、所在地や面積、所有者などの情報を登記簿に登録する手続きです。

これによって、土地や建物の所有者は自分の所有権が正当であることを主張でき、自分が所有する土地や建物について、不正な不動産取引が行われないように保護することもできます。

土地を相続した人は、相続登記を完了して初めて土地の所有権を得ます。それでも、日本国内の多くの土地は名義変更しないまま放置されています。実にその面積は、九州とほぼ同等であると言われています。

なぜ、これほどまでに、名義変更しないでおかれる土地が増えたのでしょうか。考えられる理由はたくさんあります。

第一に、相続登記は相続人の義務ではありません。相続した土地を名義変更しないでおいても特に罰則はないのです。

第二に、土地の相続登記には費用と手間がかかります。必要書類の取得には、市町村指定の手数料がかかりますし、登記申請時になれば登録免許税も必要です。これらすべてを司法書士に任せるとなれば、まとまった額の依頼費用を用意しなければなりません。

このような理由から、「面倒なので、名義変更しないで良いならば、そのままにしておこう」という具合に敬遠されているものと思われます。

第三に、相続した土地を名義変更しないことに対する危機感の欠如があります。数代前の先祖の時代から名義変更しないで今まで使ってきており、何も問題なかったのでこれからも名義変更しないで大丈夫、という認識が広く見られます。

土地が「不動産」、つまり動かない財産であるということも、危機感の欠如の一因でしょう。土地は同じ場所にずっと留まり、盗まれることはありません。急に他人が建物を建てて占拠することも、まず考えられません。

そのため、今日も明日も様子が変わらない土地について、早く名義変更しないとダメだと言われても、今一つ実感が湧かないのかもしれません。

続く部分からは、相続後に名義変更しないでおかれる土地がどうなるのかについてご紹介していきます。

 

名義変更しないと、土地を活用できない

土地は、誰かに貸して賃料を得たり、売却したり、建物を建てて住んだりするために使うものです。しかし、名義変更しないで放置された土地は、このような活用が一切できません。

名義変更しないで放置されている土地のほとんどは、相続された土地です。そのため、登記上の権利者はすでに死亡しています。権利者がこの世に存在しない土地なので、誰も活用できないことになるのです。

 

名義変更しないと、土地の権利関係がこじれる

土地の相続人も、時の経過と共に子孫が増えていくでしょう。しかし、土地を名義変更しない状態で子孫が増えることは、土地の権利者になり得る人が増えていくことを意味しています。

相続では、関わる人の数が多ければ多いほど、トラブルのリスクも高くなります。自分が名義変更しないでいたばっかりに、子供や孫が相続の際にいがみ合うようなことがあれば、悲しく思うのではないでしょうか。

 

名義変更しないと、公共事業に支障を来たすことも

時代と共に、街並みは変化していきます。相続した土地も、いずれ事業用地として買収対象になるかもしれません。また、地震や洪水、火災などで被災し、地方自治体が地域の復興のために、土地を必要とする可能性もあります。

こんな場面で、もし、名義変更しないで放置された土地が見つかったらどうなるでしょうか。登記がされていないために現在の権利者が分からず、交渉が進まなくなります。復興に必要な公共事業も滞ってしまうでしょう。

 

まとめ

相続した土地を名義変更しないことに、良いことはひとつもありません。自分の子孫だけでなく、社会の多くの人の迷惑になる可能性もあるため、名義変更しないで放置することなく、社会人として土地の相続登記の責任を果たしていきましょう。