土地の相続で必要な手続きとは?
土地を相続したら相続登記が必要
土地の所有者の情報は、法務局で登記されています。亡くなった人の土地を相続により取得した場合には、法務局で土地の所有者名義を書き換える手続きが必要になります。相続による不動産の名義変更は、相続登記と呼ばれます。
登記申請を代理できるのは司法書士
土地の相続登記は自分ですることもできますが、専門家に依頼することもできます。登記手続きを専門家に代理してもらう場合には、司法書士に依頼します。
司法書士と行政書士は、名前は似ていますが、できる業務の範囲が違っています。行政書士は、法務局での登記申請を代理することはできません。
土地の相続で行政書士ができることとは?
遺産分割協議書作成は行政書士に依頼できる
土地の相続登記は司法書士に依頼しなければなりませんが、土地の相続に関して行政書士に依頼できることもあります。
行政書士の業務は、主に次の3つになります。
①官公署に提出する書類の作成とその代理、相談業務
②権利義務に関する書類の作成とその代理、相談業務
③事実証明に関する書類の作成とその代理、相談業務
土地の相続手続きで使われる遺産分割協議書は、②の「権利義務に関する書類」に該当しますから、行政書士に依頼することが可能です。
行政書士には相続関係説明図も作ってもらえる
相続関係説明図とは、相続関係を図式化した家系図のようなものです。相続手続きでは、相続人が誰であるかを一目でわかるようにするために、相続関係説明図を添付するのが一般的です。
土地の相続登記を申請するときには、相続関係説明図を提出することにより、戸籍謄本の原本還付を受けられるというメリットがあります。
相続関係説明図は、上の③の「事実証明に関する書類」に該当しますから、行政書士に作成を依頼することができます。
行政書士には法定相続情報証明制度の手続きを任せられる
法定相続情報証明制度は、平成29年5月にスタートした制度です。法定相続情報証明制度を利用する場合には、法定相続情報一覧図を作成し、相続手続きに必要な戸籍謄本一式と一緒に法務局に提出して保管を申し出ます。
法定相続情報一覧図の保管を申し出た場合、戸籍謄本一式の代わりに、法務局で発行してもらった一覧図の写しを添付して、相続手続きができます。法定相続情報一覧図は、土地の相続手続きだけでなく、金融機関等での相続手続きにも利用できます。
行政書士には、法定相続情報一覧図の作成や保管の申出の手続きを代理してもらうことも可能になっています。
書類作成の前提となる調査も行政書士に任せられる
行政書士に遺産分割協議書、相続関係説明図、法定相続情報一覧図の作成を依頼する場合には、その前提となる相続人調査から行政書士に代行してもらうことができます。
遺産である土地の正確な所在地がわからない場合の調査や、遺産目録を作成するために必要な土地の登記事項証明書の取得なども行政書士に依頼することが可能です。
土地の相続のために遺言を残したい場合には?
土地について遺言を書きたいなら行政書士に相談できる
土地を特定の人に相続させるために、遺言を残すことを考える人も多いと思います。遺言は民法上の要件をみたしていなければ無効になってしまいますから、慎重に作成しなければなりません。
遺言にはいくつかの種類がありますが、主に利用されるのは自筆証書遺言と公正証書遺言です。遺言書は権利義務に関する書類ですから、土地について自筆証書遺言および公正証書遺言を作成したい場合には、行政書士にサポートを依頼できます。
土地について遺言を書く場合の注意事項
土地について遺言書に書く場合には、土地を正確に特定しなければなりません。法務局で土地の登記事項証明書を取得し、土地の表示(所在、地番、地目、地積)を確認する必要があります。
また、公正証書遺言で土地について指定する場合には、固定資産評価証明書を取得するか、課税明細のコピーをとって公証役場に提出する必要があります。
遺言書作成を行政書士に相談するメリット
行政書士に遺言のサポートを依頼した場合には、行政書士に遺言書作成の必要書類の取得も代行してもらえます。
なお、遺言にもとづいて土地の相続手続きをスムーズに行うために、遺言書では遺言執行者を指定しておくのが安心です。行政書士に頼んで遺言執行者になってもらうことも可能です。