土地を相続しても相続登記する義務はない
相続があったら相続登記で土地の名義を書き換える
土地を相続する手続きとは、法務局での相続登記です。土地の面積や種類、権利関係などの情報は法務局で登記記録(登記簿)として保管されています。
相続により土地を引き継ぐと、土地の所有者が変わることになりますから、法務局で登記記録を書き換える手続きが必要になります。相続による不動産の名義変更手続きが相続登記です。
相続登記は義務付けられていない
相続登記など、不動産の権利に関する登記は、法律上義務付けられているものではありません。土地の相続登記をしなくても罰則はないということです。相続登記は義務ではないため、手続き期限も設けられていません。
義務ではなくても相続登記は早めにすべき
相続登記は義務ではありませんが、相続登記をしないと不都合が生じることがあります。たとえ土地を取得しても、所有者として登記されていなければ、「自分が土地の所有者である」ということを主張できないからです。
相続した土地を売却したいと思っても、相続登記をしていなければ売却手続きができません。相続した土地を担保にお金を借りたいと思っても、自分名義になっていなければ、融資を受けることは不可能です。
相続登記を先延ばしにすれば、いざ手続きしようと思ったときに必要な書類が揃わず、スムーズに登記ができないことがあります。すぐに土地を売却等する予定がなくても、相続登記は速やかに終わらせるのが安心です。
相続登記の申請時には登録免許税の納付義務がある
相続登記をするときには、土地の固定資産評価額の0.4%の登録免許税がかかります。相続により土地を取得した人は、登記申請書とセットにした収入印紙貼付台紙に、収入印紙を貼って登録免許税を納付する義務があります。
土地を相続して相続税がかかるなら申告・納税義務がある
土地を相続して相続税の納税義務が生じるケース
土地を相続したときには、相続税がかかることがあります。相続税の納税義務があるかどうかは、土地の価格だけで決まるのではなく、遺産のトータルの価格で決まります。遺産のトータルの価格が、相続税の基礎控除額を超える場合には、相続税の納税義務が発生します。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
相続税は自分で申告が必要
相続税の納税義務がある場合、納付書が届くわけではありません。相続税は、納税する人が自分で税額を計算して申告する申告納税方式です。相続税が課税されるかどうかを自ら判断した上で、課税される場合には、税務署で申告手続きを行う義務があります。
なお、土地を相続したときには、税務署から「相続税についてのお尋ね」といった通知が届くことがあります。税務署からの通知が届いた場合、相続税がかかる可能性が高いということですから、遺産の額を確認し、必要であれば申告手続きをとるようにしましょう。
相続税の申告には期限がある
相続税の申告には、相続開始を知った日の翌日から10か月以内という期限があり、相続税がかかる場合、期限までに申告だけでなく、納税も行う義務があります。
もし期限までに申告や納税ができなかったら、延滞税や無申告加算税などを払う義務も生じてしまいます。相続税について不安がある場合には、速やかに税理士に相談して対処するようにしましょう。
土地の相続後は固定資産税等の納税義務が生じる
土地の所有者には固定資産税の納税義務がある
相続により土地の所有者になったら、固定資産税を払う義務が生じます。固定資産税は不動産の所有者に課せられる税金で、市町村から徴収されます。
相続登記をしなければ相続人全員が納税義務を負うことになる
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者が納税義務を負います。土地の所有者が年度の途中で亡くなった場合には、その年の固定資産税の納税義務を相続人が引き継ぐことになります。
土地の所有者が亡くなった翌年以降の固定資産税については、相続登記が完了するまでは、相続人全員が納税義務を負います。相続登記完了後は、土地を取得した人が納税することになります。
土地を相続したら土地の管理義務が生じる
相続により土地の所有者になった場合には、土地の管理義務、管理責任が発生します。空き地にする場合でも、雑草を処理したり、ゴミの不法投棄を防止する対策をしたりしなければなりません。
土地の管理義務を怠り、他人に損害を与えてしまった場合には、損害賠償請求されることがありますから、注意しておきましょう。