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不動産を含めた相続で必要になる計算とは?

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相続財産の評価額の計算

相続税の基本は、不動産を含む相続財産の評価額の計算です。

現金のように価値が明白な財産と違い、不動産、株式、骨とう品など、評価額を計算しなければならない財産もあります。さらに、不動産等の財産は価値が変動するため、正確な価値を知るのは容易ではありません。

そこで、不動産等の評価額の計算については、国税庁の「財産評価基本通達」に基づいて行うことが原則となっています。財産評価基本通達は、不動産等価値が分かりにくい相続財産の評価額計算についてのガイドラインです。

おもな相続財産の計算方法については、以下のように定められています。

財産の種類 評価額の計算方法
宅地 市街地の宅地・・・路線価×土地の面積

郊外の宅地・・・不動産の固定資産税評価額×倍率

山林・農地 不動産の固定資産税評価額×倍率など
借地権 自用地としての評価額×借地権割合
貸宅地 自用地としての評価額-借地権の価額
家屋一般 不動産の固定資産税評価額
貸家 不動産の固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
上場株式 相続開始日の最終価格など
預貯金 預入高+既経過利息-源泉所得税
自家用車 売買実例価格(中古車市場の相場)
美術品・骨董品 売買実例価格、専門家による鑑定価額など
家財 再調達価額
ゴルフ会員権 取引価格の70%

 

みなし相続財産の計算

みなし相続財産とは、相続財産ではないものの、被相続人の死亡を理由に受け取る財産のことです。代表的なものは、以下の4つになります。

被相続人の死亡保険金

被相続人が保険料を負担していた生命保険の保険金など

死亡退職金

遺族が受け取る退職金や功労金など

生命保険契約に関する権利

被相続人が保険料を負担し、他の人を被保険者にしていた生命保険契約に関する権利

定期金に関する権利

被相続人が掛け金を負担し、被相続人以外の人が契約者である定期金給付契約に関する権利

 

一定の贈与財産の計算

以下のように、被相続人が不動産や他の財産を生前贈与していた場合は、贈与財産を相続財産として計算する場合があります。

相続時精算課税制度を利用した贈与財産

相続時精算課税制度は、親子間の不動産贈与にもよく用いられるものです。2,500万円までの不動産や他の財産を非課税で贈与できますが、「相続時精算課税」なので相続開始後に相続財産として計算します。

相続開始前3年以内の贈与財産

こちらは相続税逃れを防ぐための制度です。ただし、相続開始前3年以内に不動産や他の財産を贈与されたのが相続人でも受遺者でもない人(孫など)の場合には、相続開始後に相続財産として計算されることはありません。

 

非課税財産の計算

金銭的な価値があっても、相続財産として計算されない財産があります。代表的なのは、以下のようなものです。

・墓地、墓石、仏具、その他、日常の礼拝に使う品
・宗教、慈善、学術、その他、公益事業に使われることが確実な品
・精神や身体に障害がある人やその人を扶養する人が受け取ることのできる給付金

これらの財産はその性質から、相続財産として計算することが不適切だと考えられているものです。ただし、上記のような財産で骨董的価値があるもの、または投資対象として保有していた財産には、相続税がかかることになります。

 

相続税の計算

被相続人が不動産を所有していた場合には、相続税がかかる可能性は高くなります。しかし、不動産を含めた相続財産が相続税の基礎控除額以下に収まっていれば、相続税はかかりません。

相続税の基礎控除額は、以下のように計算します。

「3,000万円+600万円×法定相続人の数」

計算の結果、相続税がかかると分かった場合には、以下の4つの手順を踏んで相続税を計算しましょう。

各人の課税価格を計算する

まずは、不動産等の財産を取得する相続人ごとに課税価格を計算します。

課税遺産総額を計算する

各相続人の課税価格を合計すると、正味の遺産額が分かります。そこから基礎控除額を引きましょう。残った金額に相続税がかかります。

相続税の総額を計算する

法定相続人が法定相続分通りに相続したと仮定して、各人の取得金額を計算します。そこへ税率をかけたものを合計すると、相続税の総額が分かるでしょう。

各人の納付税額を計算する

相続税の総額を、実際に財産を取得した割合に応じて按分し、各相続人の税額を計算します。控除対象の相続人は控除を、2割加算の対象になる相続人は加算をして、最終的な税額を出しましょう。

 

まとめ

相続財産に不動産があると、相続税がかかる可能性が上がります。被相続人が都心部に不動産を持っていた場合などには、高確率で相続税がかかるでしょう。

不動産を相続する人の税負担を軽減するための特例制度もたくさんありますが、適用条件は複雑なので、相続問題に特化した税理士に相談して下さい。