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相続した土地の「分割」と「売却」で悩んだ時に考えたいメリットやデメリットとは?

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土地の「分割」って?

土地に境界線を引き2つの土地として使用できるように分けることを、分割と言います。境界線は任意に決めることができ、登記が必要ないのが特徴です。

なお、建築基準法では、ひとつの土地にはひとつの建物しか建てられないという「一敷地一建物の原則」があります。

土地の余っているところに子供世帯の家を新築したいとか、相続した土地を兄弟で分けてそれぞれの家を建てたいという場合には、2つの土地が必要です。分割によって土地を2つに分けることで、こうしたことが可能になるのです。

分割しようとしている土地にすでに建物が建っている場合、分割することによって既存の建物が建築基準法に違反することのないように、注意しなければなりません。

分割することによって違反になりやすい点には、次のような規定があります。

・建ぺい率
・容積率
・高さ制限
・斜線制限
・接道義務
・最低面積
・防火の仕様

相続した土地が所在する地域や都道府県によって、注意すべき点には違いがあります。既存の建物にマイナスな影響を及ぼさないよう、相続した土地の分割は建築士や土地家屋調査士によく相談してから決定するようにしましょう。

ちなみに、土地の分割は「分筆」と混同されることもありますが、分筆とはひとつの土地について、2つの別個の土地となるよう分けることを意味しています。分割と違い、分筆後の土地は法的な意味で元の土地とは無関係になります。

このように、分割と分筆は、まったくの別物と言えるのです。

 

相続した土地を分割するメリット

1.手続きが簡単

分割では分筆よりも手続きが簡単で早く終わります。

2.複数の建物を建てられる

先ほど述べた通り、分割することで一敷地一建物の原則を守りつつ、相続した土地に複数の建物を建てることができます。新しく土地を購入する必要がないので、新築コストを大幅に削減することもできるでしょう。

 

相続した土地を分割するデメリット

1.相続した土地が共有状態同然に

分割では登記を分けないので、相続した土地は他の相続人との共有状態にあるのと同じです。売却するにも、他人に貸すにも、建物を建てるにも、相続人全員の了承を得る必要が出てきます。そのため、相続しても、分割では自分の思い通りに土地を使うことは難しくなるでしょう。

2.相続した土地全体に抵当権がかかる

相続した土地に自宅を建てたいと思った場合は、住宅ローンを利用することもあるでしょう。金融機関は、融資する際に担保となる土地や建物に対して抵当権を設定します。抵当権は、万が一、ローンの返済が滞った場合に土地や建物を競売にかけ、売却代金を債権回収に充てるために必ず必要なものです。

分割された土地の場合、分割前の土地全体に対して抵当権が設定されます。そのため、土地の共有者全員から抵当権についての同意を得なければなりません。

共有者からすれば、自分が建てるのでもない建物の抵当権を負わされることは、到底納得のいくものではないため、同意を得ることは難しいでしょう。相続人それぞれが自由に土地を使いたいのであれば、分割ではなく分筆登記をするべきです。

 

相続した土地を売却するメリット

1.現金に換えられる

土地を売却することの大きなメリットは、売却して現金を得られることです。現金であれば、相続人の相続分に合わせてきっちりと分けることができ、相続人が不公平感を持つこともありません。

2.維持のための税金が不要

土地は、ただ存在するだけで所有者に税金を発生させます。売却してしまえば、毎年の固定資産税や都市計画税を支払う必要もありません。

 

相続した土地を売却するデメリット

土地を失う

売却する以上は、土地を完全に手放さなければなりません。今は不要でも、後々事情が変わって土地を必要とすることも考えられますし、将来その土地周辺の地価が高騰する可能性も無くはないでしょう。

何より、先祖や親が築いてくれた財産のひとつを売却することで、後になって後悔しないかも事前に考えておきたいものです。

売却益に税金がかかる

売却して得た売却益には、所得税や住民税が課税されます。売却益を山分けする前に、税金分を差し引いておく必要があるでしょう。

すぐ売却できる保証は無い

平成27年から施行された相続税の基礎控除額減により、市場には相続人が売却したがっている土地や建物があふれています。売却先が見つかるまでに思いのほか長い時間を要することもあることを、あらかじめ覚悟しておきましょう。

 

まとめ

相続した土地の分割は土地の活用範囲を広げられる選択肢ですが、後々のことを考えた場合、可能な限り分割ではなく、分筆しておくことをお勧めします。土地に愛着がなければ売却するのも良いですが、売却見込みなどをよく調査した上で決定しましょう。