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相続した土地を分筆する際の手続きと、かかる費用について

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ステップ1:境界確定測量

相続した土地の境界が確定していない場合は、分筆することができません。そのため、どんな土地であっても、まずは境界確定測量を行います。

境界確定測量ではまず、登記簿、公図、区画整理図などから相続した土地と周辺の土地の位置関係を確認し、境界点を仮定します。その後、行政機関の担当者や隣接地所有者の立ち合いのもと、相続した土地の境界についての確認や分筆の合意を得ます。

土地の境界確定測量は、相続人が自分で行えるものではありません。費用はかかりますが、建築基準法や固定資産評価に明るい「土地家屋調査士」などの専門家に依頼して行いましょう。

 

ステップ2:境界標の設置

相続した土地の分筆について関係各所から合意が得られたら、次は境界標の設置です。境界標とは、杭や鋲などの形状をしたもので、土地の境界を表す目印となります。この作業も専門家が行います。

 

ステップ3:分筆登記の必要書類と図面の用意

次いで、相続した土地の分筆登記に必要な書類や図面を揃えましょう。以下のものが必要です。

・登記申請書
・筆界確認書
・地積測量図
登記申請書の様式は、法務局のホームページからダウンロードが可能です。

筆界確認書とは、境界確認書・境界の同意書・境界の協定書の3種の書類のことをいいます。相続した土地の範囲や、分筆についての隣接地所有者の合意の有無を証明するために必要です。

地積測量図とは、相続した土地の面積、寸法、形状、境界標の位置などを表す法的な図面です。相続した土地を管轄する法務局窓口の他、インターネットや郵送でも取り寄せることができます。

なお、分筆登記を専門家に依頼する場合は、委任状も必要になります。

 

ステップ4:分筆登記申請

必要書類を揃えたら、法務局へ分筆登記を申請しましょう。申請が受理されても、何か問題があると後日呼び出される場合があります。特に何もなければ早くて1週間、繁忙期には1か月ほどで分筆登記が完了し、登記済証が交付されます。

相続した土地の分筆登記だけなら、土地の相続人が自分で手続きすることも可能です。ただし、分筆登記を相続人が行う場合、何かしらの書類の不備が見つかり、何度か修正してやっと申請が通るのが普通です。

また、平日しか開庁していない法務局へ、どんなに少なくとも2回は出向く必要があります。修正のために行き来することを考えれば、3、4回は通う可能性も十分あるでしょう。

依頼費用を浮かせようと思っても、その分大事な時間を取られるのでは考えものです。法務局が遠方であれば、交通費もかさみます。時間があり余っているのでない限りは、費用がかかるとしても専門家に依頼するのが正解でしょう。

 

相続した土地の分筆登記完了までにかかる費用

相続した土地の分筆にかかる費用は、大きく分類すると3種類です。

1.境界確定測量の費用

相続した土地の境界確定測量の費用は、30万円前後が相場です。多くの測量事務所では、この費用に事前調査や図面の作成、各種証明書の作成や境界標埋設作業の費用を含んでいます。交通費や印紙代などの費用は、別途かかるものと考えておきましょう。

なお、相続した土地の面積や境界点(土地の角)の多さ、境界点に入れる杭や鋲の量などによって、費用は増減します。

登記申請代行の費用

相続した土地の分筆登記を専門家に代行してもらう場合は、実費以外の費用(報酬)もかかります。費用は各事務所によって異なりますが、だいたい5万円~15万円が相場のようです。

登録免許税の費用

相続した土地の分筆登記を自分で行う際の費用は、登録免許税です。分筆登記の登録免許税は、分筆後の筆数(土地の数)1つあたり1,000円となっています。

相続した土地を2つに分筆した場合の費用は2,000円、3つであれば3,000円の費用が必要です。登録免許税は、登記申請書に収入印紙を貼って納めます。

3つの費用を合計すると、相続した土地の分筆登記のためには35万円ほどの費用が必要、という結果になります。

費用相場については、ごく平均的な面積、形状の土地を分筆する場合のものを記載しています。正確な費用を知りたい場合は、複数の測量事務所から見積もりを取って比較するようにして下さい。

 

まとめ

相続した土地の分筆登記にかかる時間は、境界確定測量が済んでいるかどうかに左右されます。済んでいるなら2週間程度、未実施なら2~3か月はかかるものと考えましょう。

境界確定測量は、専門家でもミスをすることがあります。依頼費用の安さだけに注目するのではなく、実績と技術が確かな専門家を頼るようにして下さい。