相続した不動産を使わないなら売却を検討しよう
使わない不動産を所有しているデメリット
不動産の所有者は、固定資産税や都市計画税を負担しなければなりません。固定資産税や都市計画税は毎年課税されるので、負担がずっと続くことになります。
また、相続した不動産を空き家にしていても、その空き家が他人に何らかの損害を与えた場合には、所有者は責任を負わなければなりません。
空き家を放置していれば、放火により火災になったり、ガラスが割れて他人にケガをさせてしまったりすることもあります。遠くの空き家でも、所有者はきちんと管理しなければならないのです。
相続した不動産を売却して手ばなす方法がある
不動産の所有者としての義務を免れたいなら、売却して手ばなすことを考えましょう。不動産を売却して現金に換えれば、その現金を有効活用できるはずです。
売却を迷っている間にも、コストが発生する上に、管理責任も付いてきます。時間が経てば、不動産の値段が下がってしまうこともあるでしょう。売却するかどうかは、早めに決めるのがおすすめです。
相続不動産は早めに売却すると節税になる
不動産の売却時には譲渡所得税がかかります。相続税を払ったケースでは、相続開始から3年10か月以内の売却で譲渡所属税を安くできる特例があり、節税が可能です。
また、親から相続した空き家をリフォームするか、更地にして売却した場合には、譲渡所得税の課税において3,000万円の特別控除が受けられます。特例が適用される期間は限定されていますから、売却するならやはり早めにするのが賢明です。
相続した不動産は売却前に相続登記が必要
相続した不動産の売却を考えるなら、おおまかな流れを把握しておきましょう。相続した不動産を売却するときには、まず不動産の相続手続きを行い、その後に売却手続きをするという流れになります。
故人名義の不動産は売却できません。すぐに売却する場合にも、不動産の名義はいったん相続人に変更する必要があります。売却するかどうか迷っている場合でも、相続登記は先にしておきましょう。
相続人が1人の場合の不動産売却の流れ
相続人が1人の場合(遺言により1人の相続人が不動産を取得する場合も含む)、売却までの流れは次のようになります。
流れ1.相続登記の申請
故人の不動産を相続する人は決まっていますから、すぐに相続登記ができます。戸籍謄本等の必要書類を揃えて、相続登記の準備をしましょう。
必要書類が揃ったら、不動産の所在地を管轄する法務局に相続登記を申請します。相続登記は1週間程度で完了します。
流れ2.不動産会社に売却を依頼
不動産の売却の仲介は、宅地建物取引業者に依頼する必要があります。複数の業者から見積もりをとり、高く売却してくれそうな業者を選びましょう。依頼する業者が決まったら、媒介契約を結びます。
流れ3.不動産の売り出し
査定額をもとに売り出し価格を決めて、不動産を売り出します。購入希望者が現れたら、売却の条件について交渉し、契約成立を目指しましょう。
流れ4.売買契約締結
購入希望者との交渉が成立したら、売買契約締結です。契約締結時には、物件価格の10~20%程度の手付金を受け取ります。
流れ5.不動産の引き渡し
あらかじめ設定された決済日に残代金を受け取り、買主への所有権移転登記を行って、引き渡しをします。
流れ6.確定申告・納税
譲渡所得税がかかるケースでは、売却の翌年に確定申告を行って納税します。
相続人が複数いる場合の不動産売却の流れ
相続人が複数いる場合、故人の不動産は相続人全員の共有ですから、1人の意思だけで勝手に売却できません。売却までの流れは、次のようになります。
流れ1.相続人全員で遺産分割協議
不動産をもらう人を決めるために、遺産分割協議を行います。他に相続人がいる場合には、全員の同意をもらわなければ不動産を相続できないということです。
なお、不動産以外に財産がない場合には、不動産の売却代金を分ける遺産分割(換価分割)をすることも可能です。この場合には、遺産分割協議書に換価分割する旨を明記しておきます。
流れ2.相続登記を申請
遺産分割協議が成立したら、法務局で相続登記の申請をします。申請の際には、遺産分割協議書の添付が必要です。
換価分割する場合には、法定相続の登記をするのが原則ですが、手続きの便宜のため、相続人の代表者名義に登記することもできます。
流れ3.不動産会社に売却を依頼
名義変更が完了したら、不動産会社に売却手続きを依頼します。以降は、相続人が1人の場合の流れ2~流れ6と同様です。