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不動産の相続で行うべき3つのこと

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遺産分割協議で不動産を相続する人を決める

・そのままでは不動産は相続人全員の共有

亡くなった人(被相続人)が不動産を所有していた場合、相続人が複数いれば、相続発生と同時に相続人全員で相続財産を共有している状態になります。しかし、不動産が共有であれば、共有者全員の同意がなければ不動産を自由に処分することもできず、不都合が生じます。

不動産の相続手続きでは、まず、その不動産を誰が相続するのかを決める必要があります。被相続人が遺言で不動産を相続する人を指定していれば遺言に従いますが、遺言がない場合には相続人全員で遺産分割協議を行って不動産を相続する人を決めることになります。

・遺産分割協議はどうやって行う?

遺産分割協議では、不動産を含めた遺産の分割方法について、相続人全員で話し合います。最終的に協議が成立すれば、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印し、相続人全員の印鑑証明書を添付します。

 

不動産の名義変更をする

・不動産の名義変更とは

不動産を相続する人が決まったら、不動産の名義変更をします。不動産の名義変更とは、法務局で相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)を行うことです。

・不動産の相続登記の方法

相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局に、登記申請書を提出して行います。登記申請書には、遺産分割協議書のほか、相続関係がわかる戸籍謄本、被相続人の住民票(除票)、相続人の住民票、不動産の固定資産評価証明書などを添付する必要があります。

・不動産の相続登記にかかる費用

相続登記申請の際には、不動産の固定資産評価額の0.4%の登録免許税を支払う必要があります。このほかに、登記申請に必要な戸籍謄本等の取り寄せに、数千円程度の実費がかかります。なお、相続登記を司法書士に依頼した場合には、報酬として5~7万程度がかかってきます。

・不動産の相続登記の期限

相続登記は法律上義務付けられているわけではないので、手続きの期限もありません。しかし、相続登記をしていないと、そのままでは不動産を売却できなかったり、次の相続が発生したときに手続きが複雑になってしまったりするなど不都合が生じます。不動産の相続登記は、相続発生後速やかに行うのがよいでしょう。

 

相続税の申告・納税をする

・相続税がかかるケースとは?

不動産は金額が大きいですから、相続税がかかるケースがあります。なお、相続税を計算するときには、相続財産の額から無条件で差し引きできる基礎控除額があるため、不動産を含めた相続財産の額が基礎控除額以下であれば、相続税がかかることはありません。

相続税の基礎控除額は、次の計算式で算出します。

3000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、法定相続人が3人の場合には、

3000万円+600万円×3=4800万円

となり、相続財産の額が4800万円以内の場合には相続税がかかりません。

・不動産の価格はどのようにして出す?

不動産にはいろいろな評価方法がありますが、宅地の場合には「路線価方式」または「倍率方式」で評価します。市街地では路線価が定められているため、路線価を基準に補正を加える路線価方式で算出します。路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価額を出す倍率方式を使います。

・自宅や事業用店舗の敷地には特例がある

主な財産が自宅または店舗等の事業用資産である場合、その自宅や事業用店舗の敷地の相続税評価額が高額で多額の相続税がかかってしまうことになれば、納税のために自宅や店舗を売却しなければならない可能性があります。こうした事態を回避するため、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(小規模宅地等の特例)が設けられています。

小規模宅地等の特例では、被相続人の配偶者や同居していた親族、持家がない親族などが居住用の土地を相続した場合には、330平方メートルまでの部分につき、80%の減額が可能です。また、被相続人の事業を引き継ぐ親族が店舗等の敷地を相続した場合には、400平方メートルまでの部分につき、80%の減額が可能になります。

・相続税には配偶者控除もある

相続税では、配偶者について、1億6000万円もしくは配偶者の法定相続分に相当する額のどちらか多い方までが非課税になる配偶者控除があります。これにより、配偶者が不動産を相続した場合には、相続税が大幅に減額されるケースがあります。

・相続税の申告・納税の期限

相続税については、相続開始を知った日から10か月以内に相続税の申告・納付を行う必要があります。なお、小規模宅地等の特例や配偶者控除により相続税がゼロになる場合にも、相続税の申告は必要です。