土地の評価価値は4つある!?
相続税の計算の元になる財産の評価は、時価で判断します。こういうと、「何だ、時価なら簡単で分かりやすいじゃないか」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、土地の時価は4つもあるのです。高い順に説明しましょう。
・実勢価格
・公示地価
・路線価
・固定資産税評価額
「実勢価格」というのが、市場での土地取引を反映した評価価値です。この評価額が一番高くなるのが一般的です。
「公示価格」というのは、国土交通省が発表する土地の評価価値。本来は、国が公共事業用地を取得するための基準となる評価価値です。
「路線価」は国税庁が定める土地の評価価値です。相続税や贈与税を算出する基礎になります。
「固定資産税評価額」は地区町村が定めます。固定資産税や不動産取得税、登録免許税の計算に使います。
このようにみてくると、評価の目的によって担当する役所も金額も異なることがわかります。そして既にお分かりでしょうが、相続税について必要な時価は「路線価」なのです。
土地の評価額の計算方法
相続税を計算するには、土地の「路線価」が基準になることが分かりました。
路線価は、1㎡当たりの金額を千円単位で表示されています。
例えば「200C」というような表示です。この場合は、最初の「200」が評価価値となります。単位が千円ですから200千円。
つまり、20万円です。
最後のアルファベット「C」は、借地権割合です。借地権が付いている土地で「C」ならば、70%の評価価値となり、20万円×70%で14万円になります(A:90% B:80% C:70% D:60% E:50% F:40% G:30%)。 実際に所有している土地の面積を1㎡あたりの金額に乗じると、ほぼ相続税の評価となる金額が出てきます。
例えば300㎡の土地ならば、「20万円×300㎡=6,000万円」です。
先ほど、「ほぼ相続税の評価」という表現をしました。実際のところ、一般的にはこれで大丈夫なのです。
しかし、場合によっては傾斜地であったり、道路に面した間口が狭かったりしたような場合は、ここから減額することができます。 残念ながら路線価が決められていない土地もあります。このような土地の場合には、「倍率方式」という評価方法で、評価価値を決めます。路線価と同じように国税庁が定める「倍率」を、固定資産税評価額に乗じることで算出します。倍率方式の場合も、借地権割合がきちんと決められています。
土地についての相続税対策
土地の評価が正しくできたならば、後は相続税の計算です。多額の相続税を支払う必要がありそうならば、直ぐにでも相続税対策をしておくべきでしょう。
例えば、駅前の土地をご主人が所有されており、その上に奥様名義のビルが建っているようなことがよくあります。そのことを実は奥様はご存じなかったりすることは、少なくはありません。
このようなケースでご主人が亡くなられると、駅前の土地ですから相続税の評価価値はとても大きくなります。そしてその高い相続税を払うために、駅前の土地とビルを売ることにもなりかねないのです。
こうなる原因は、奥様がご主人に土地を借りた賃料を払っていないからなのです。これは法律用語でいう、使用貸借という契約になります。賃貸借契約を結んで賃料を払っていれば、駅前の土地の評価価値は半分近くにもなった可能性が高いのです。 他にも広い土地をお持ちのような場合は、上手く分筆しておけば、土地の評価価値を下げることができます。
相続専門の税理士に相談する
路線価に土地の面積を乗じるか、固定資産税評価額に国税庁が定める倍率を乗じることで、ほぼ相続税の評価価値となる金額が計算できました。「ほぼ」から正確な金額を計算するのは、相続専門の税理士に確認してもらうことが必要です。 年間に2件から3件程度しか、相続税申告の仕事をされていない方もおられます。
その理由は、税理士の多くは会社関係の仕事を主にされているからです。
会社の顧問税理士に相続申告を頼んだら、相続税を多く払い過ぎたという話はよく耳にします。
その理由は間違いなく、土地の評価を高く判定されたせいなのです。 相続専門の税理士ならば、土地の評価価値を正確に判断するための情報収集の方法や技術を持っています。また相続税対策としての土地の活用方法や、契約形態等の知識を持ち合わせています。相続専門の税理士かどうかを必ず確認してから、相談しましょう。
「土地の評価次第で相続税は大きく違ってくる?」まとめ
相続における土地の評価は、路線価や国税庁が定める倍率を使って行います。
ただし、土地の場所や周囲の環境、土地の形態や形などによって、評価は補正されます。借地権があるないによっても変わってきます。それに伴い相続税も大きく異なってきます。相続専門の税理士に相談することが、有益な対策を立てる第一歩となるでしょう。