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贈与する際には、その金額に注意!

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贈与とは

贈与とは、贈与者(財産を譲る人)が受贈者(財産を譲られる人)へ、無償で財産を譲ることを指します。贈与は、贈与者が生存している時に行われるため「生前贈与」とも呼ばれます。

相続の場合は法定相続人のみが相続することができますが、贈与の場合は財産を譲渡する相手に関する法律上の規定はありません。

 

贈与税の基礎控除額について

贈与税の基礎控除額は、受贈者1人あたり年間で110万円です。相続税対策として、毎年この基礎控除額未満の金額を少しずつ贈与することも可能です。

毎年110万円ずつ贈与すれば、10年で合計1,100万円を非課税で贈与できます。これを一度に贈与してしまうと、特例贈与財産の場合、以下の計算によって算出される207万円の贈与税がかかってしまいます。

(1,100万円-110万円)×30%(特例税率)-90万円(控除額)=207万円

 

配偶者へ自宅を贈与する場合

配偶者間の贈与には、基礎控除の他にも最高2,000万円までの特例控除があります。これは相続開始3年前以内の贈与でも、相続財産には加算されません。この控除を適用されるためには、次の3つの条件を満たす必要があります。

1.結婚20年以上の夫婦であること

婚姻の届け出をした日から贈与の日までが20年以上あることが条件です。内縁関係で20年以上同居しているなど、正式な婚姻関係にない場合には適用されません。

2.贈与する財産が、居住用の不動産または購入資金である

贈与財産は、国内の自分の居住用不動産、または国内の居住用不動産の購入資金である場合にのみ適用されます。贈与を受けた翌年の3月15日までに受贈者がその居住用不動産に居住し、その後も引き続きそこに居住することも条件となります。

3.同じ配偶者からの控除適用は一度限り

同じ配偶者から、過去にこの控除の適用を受けていないことも条件です。

このとき、税額がゼロになった場合も、贈与税の申告は必要になります。また、贈与税が非課税でも登記費用や不増産取得税は加算されます。

 

マイホーム資金を贈与される場合

子供がマイホーム資金を親から贈与される際にも、一定額の控除があります。控除額は住宅取得などの契約締結日によって変動しますが、平成28年1月1日から平成32年3月31日までに省エネ住宅などを取得した場合は、受贈者1人あたり最大で1,200万円が控除されます。省エネ住宅などに当てはまらない住宅の場合は、最大700万円までとなります。

この控除は、相続財産へ加算されることもありません。また、夫婦双方に同額の控除を適用可能なので、夫婦合わせて最大で2,400万円の控除が可能になります。適用には、次のような条件を満たすことが必要になります。

1.父母や祖父母からの贈与であること

直系尊属からの贈与である必要があります。

2.受贈者が20歳以上であること

贈与を受けた年の1月1日時点で、20歳以上であることが必要です。

3.贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与金額の全額を充てて住宅用家屋の新築等をすること

贈与された財産の用途や、使用する期限も定められていますので注意しましょう。

 

借金の金額は贈与になる?

子供が親からまとまった金額の借金をした場合でも、贈与したと見なされてしまうのでしょうか?親からの借金の場合は、次の4つの条件を満たせば、贈与とは見なされません。

1.金銭貸借の契約書を作成する

親子間のお金の貸し借りでは、特に契約書を作成せずに口約束で済ませてしまうことが多くなります。しかし贈与と見なされないためには、借り入れの金額・金利・返済方法などを明記した金銭貸借契約書を作成することが必要です。

2.返済をしていることを客観的に証明する記録を保存する

金銭貸借契約書を作成するだけでなく、実際に返済が行われていることを確認できる記録が必要です。手渡しでの返済は客観的な証拠が残らないため、振り込みで返済をするようにします。振り込みの控えを保管しておいたり、ネットバンキングから振り込み履歴をプリントアウトしておいたりすることで返済の証拠を用意できます。

3.借り入れ金額には金利を付ける

一般の金銭貸借と同様に、貸与する金額には金利を付けておきます。金利がない場合、金利に相当する額は贈与したものと見なされてしまいます。

4.返済が可能な金額での貸借であること

現実的に返済可能な金額である必要もあります。子供の収入では明らかに返済が困難な金額の貸与は贈与前提であると見なされてしまいます。

贈与税には紹介してきたとおり、複数の控除制度がありますので、上手に活用することができれば、相続税を効率的に節税することができます。

但し、贈与なのか借金なのかがあやふやになるとまずいので、贈与する場合は贈与契約書を作成するなど、お金の動きを明確に記録するようにしましょう。