贈与・生前贈与 2019.12.13

家を生前贈与でプレゼント、相続税対策になるって本当?

相続税対策として生前贈与を利用する方は多いと思いますが、単に現預金をそのまま贈与するよりももっと効率的に生前贈与する方法がいくつかあります。

その中でも今回ご紹介したいのは、家のプレゼントによる節税対策です。

例えば、親から子へ家をプレゼントとして生前贈与することで税制上大きなメリットを受けることができます。

そこで今回は、家を買うための資金としての贈与で適用できる非課税制度について詳しく解説したいと思います。

記事ライター:棚田行政書士

生前贈与する前に知っておくべきこと

生前贈与をすることで相続財産を減らせるため相続税対策になることはご存知かと思いますが、生前贈与をすると贈与税が課税されます。

家を買えるほどの金額を一度に生前贈与すれば、基礎控除額110万円を超えた部分について高額な贈与税が発生してしまうのです。

よって、生前贈与によって相続税対策をする場合は、常に贈与税の節税についても頭に入れておかなければなりません。

生前贈与の目的によって贈与税が節税できる

単に現預金を贈与するのではなく、贈与税の特例制度に該当する生前贈与をすることで贈与税を大幅に節税することができます。

中でも、今回ご紹介する「住宅取得等資金贈与の非課税」については、家を買うことを目的とした生前贈与について贈与税が大幅に免除されるのです。

 

家を生前贈与するとどのくらい節税になる?

住宅取得資金贈与の非課税とは、自分で居住する家の新築や購入、増改築などに充てるための金銭(住宅取得等資金といいます)として受けた生前贈与について、贈与税を非課税とする制度のことです。

つまり、単に1,110万円生前贈与すれば1,000万円に対して贈与税が課税されてしまいますが、1,110万円を家の購入費用などとして贈与することで贈与税を非課税にすることができるのです。

家の取得資金の贈与で非課税になるための条件とは

住宅取得等資金贈与で贈与税非課税の特例を受けるためには、以下の条件を満たしている必要があります。

【住宅取得等資金非課税の適用要件】

・生前贈与を受けた時点において贈与者の直系卑属(子や孫など直通する系統の自分より後の世代)である

・生前贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上である

・生前贈与を受けた年の所得税にかかる合計所得金額が2,000万円以下である

・平成21年から平成26年までの間に住宅取得等資金の非課税の適用を受けている

・配偶者や親族など一定の関係がある人から取得する家ではないこと

・配偶者や親族など一定の関係がある人に家の新築、増改築などを依頼していないこと

・生前贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充当して家を取得すること

・贈与を受けたときに日本国内に住所があること

そこまで難しい条件ではないので、20歳以上の子や孫に家を買うための金銭を贈与し、実際にその支払いにあてるのであれば概ね適用することが可能です。

また、新築に限られるわけではないため家を建てる場合だけでなく、実家を増改築してマイホームとする場合についても自分が住むのであれば適用できるため、子供にとっては選択肢が広がります。

 

配偶者に家を生前贈与することのメリットとは

住宅取得等資金の非課税については、子供や孫にしか使えませんが場合によっては配偶者に家を残したいこともあるでしょう。

例えば、夫名義の実家に夫が死亡後も安心して妻が暮らせるように実家を生前贈与する場合については「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」という特例制度を利用して贈与税を節税することができます。

配偶者控除の条件とメリット

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除とは、「婚姻期間が20年以上」ある夫婦間において自分で住む目的の家やその取得資金を生前贈与した場合に、基礎控除110万円のほかに最高で2,000万円まで控除が受けられるという非常にメリットが大きい特例制度です。

家を配偶者に生前贈与しておくことで、自らの死後に配偶者が遺産分割争いのあおりを受けて他の相続人に家を追い出される事態を回避することができます。

配偶者控除は二次相続に注意

配偶者控除を利用すれば、家の相続をめぐって遺産分割で争う必要がなくなりますが、一方で二次相続についても考えておくことが必要です。

二次相続とは両親が共に亡くなって子供が相続人になる際の相続のことをいいます。

夫から妻への一次相続の際に配偶者控除を適用して贈与税を大幅に節税できたとしても、その後妻が亡くなられた場合については子供に対して相続税が課税されるのです。

このように、生前贈与によって配偶者に多くの財産を移してしまうと、二次相続が発生した際に高額な相続税が発生する可能性がありますので、状況によっては配偶者でなく子供や孫に生前贈与したほうが税制上は有利になります。

 

まとめ

家を取得するための生前贈与であれば、贈与税が免除されるという非常に大きなメリットがあります。

今回ご紹介した以外にも生前贈与に利用できる特例制度は、期限付きで実施されるものもあったりしますので、生前贈与を検討している方については事前に国税庁のホームページなどをチェックしたり、税理士に相談したりしてから実施したほうがよいでしょう。

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