海外居住者にかかる相続税
相続が発生した際に相続税が課税されるのは、国内に居住している相続人はもちろんの事、海外居住者についても同様に相続税が課税されます。これは海外生活が長い場合でも同じで、たとえ10年以上海外生活をしている相続人に対しても、同じように日本の相続税が課税されるのです。
外国籍の相続人はどうなる?
日本人が海外に居住していても相続税がかかるのは理解できるかもしれませんが、外国人だった場合はどうでしょうか。
例えば、国際結婚をした人が別居をしていて、奥さんが本国に帰国している時に夫が亡くなって相続が発生した場合、外国籍である奥さんにも相続税がかかるのかが問題になりますが、答えは通常通りかかります。
相続税は国籍に関係なく、相続発生時に日本に住所がある人から財産を相続する場合は、相続税の納税義務者となるのです。
外国籍の人が日本で亡くなった場合
では海外の人が日本国内で亡くなった場合、相続税の課税関係は一時居住者かどうかによって変わってきます。一時居住者とは、相続開始前15年以内で日本国内の住所を有していた期間が10年以下である人のことを指します。
このケースにおいて、相続人が次のいずれかに該当する場合は被相続人の所有している財産のうち海外を除く日本国内の財産についてのみ相続税が課税されます。
・一時居住者
・相続開始前10年以内で国内に住所がない人
・日本国籍ではない人
簡単にいうと一時的に日本に住んでいる人、しばらく日本に住んでいない日本人、外国人については、被相続人が日本で保有している遺産については相続税が課税されますが、海外の財産については課税しないという取り扱いになっています。
被相続人の住所が海外の場合
海外で亡くなられた場合でも、日本の相続税が課税される可能性がありますので注意が必要です。
相続税が課税されるケース
相続開始前10年以内に国内の住所があり、かつ日本国籍のない者で、相続の開始前15年以内に国内の住所があった期間の合計が10年以下である非居住外国人以外の者については、被相続人の保有していた国内および海外すべての財産について相続税が課税されます。
対して、非居住外国人が死亡して相続が発生した場合、相続人が以下に該当すると相続税は国内の財産にだけ課税され、海外の財産には課税されません。
・一時居住者
・相続開始前10年以内で国内に住所がない者
・外国籍者
また、被相続人が相続開始前10年以内に日本で住所がない場合も同様の取り扱いとなります。
日本の税率は高いのか
相続税の課税関係は被相続人の居住地や相続人の居住地によって取り扱いが異なるため、相続税を計算する際には注意が必要です。
例えばアメリカでは日本の相続税にあたる税金として「遺産税」という税金がありますが、税率自体は18~40%と税率だけを比べると、そこまで大きな違いはありません。
ところが、基礎控除についてはアメリカの場合、6億円近いの基礎控除があるので実質的に遺産税はよほどのセレブでなければ課税されないようです。
日本の場合は、相続税の基礎控除が引き下げられて課税範囲が拡大していることを考えると、海外とは違う傾向があるように感じます。
なぜ日本の相続税は高いのか
アメリカや諸外国の税制と比較すると、日本の相続税の負担は大きいという印象があります。これには所得の再分配など様々な理由が考えられますが、一番の理由は別にあります。
というのも、相続税については消費税や所得税などと違って課税される人が少数派なので、増税したとしても他の税金に比べると反発が少ないのです。つまり、増税しやすい税金なのです。
そもそも相続で財産を取得するケースというのは、単にプラスになるケースがほとんどなので、多少相続税が増税したとしても、相続財産から支払えばよいという考えがあるので増税のターゲットになりやすいといえます。
日本の相続税制度にも小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減、保険金の非課税枠等税負担を軽減できる特例制度が複数あるので、これらを上手に活用することが節税対策上とても大切です。
まとめ
海外居住者であっても、一定の条件を満たす場合は相続税が課税されます。
また、日本国籍がない方についても日本の相続税が課税されるケースがありますので、誤解の内容十分気をつけましょう。